22歳の時、5年付き合った彼と別れた。大恋愛とは呼べなかった。ただの共依存だった。
私も彼も、「なんとなく好きかも」から始まった。皮肉にも、だから続いたんだと思う。その不安定さにお互い縛られていた。お互い好きかどうかわからなくなってからも、なかなか別れることができなかった。寂しさを埋めるために、時間を過ごしていた。結局、別れるまでの半年程は一緒にいても孤独でどうしようもなかった。
この人は私のどこが好きなんだろう。どうして好きになってくれたんだろう
付き合ったのは高校2年の夏。誰から聞いたのか知らないけれど、突然連絡が来た。
返事がきて嬉しいとか、一緒にいて楽しいとか、そういうのではなかったけれど、一人でいるよりいいかなと思った。それから間もなく、告白されて付き合った。私を好きになる理由はわからなかったけれど、一人は寂しいし、また恋愛が辛くなったら別れてしまえばいいかと思った。
深入りした恋より、これくらい自分が冷めてるくらいがうまくいくかもしれない。
どうしてこの人は私のことが好きなのかはわからなかった。
私は大概のことは許してしまうタイプで、何か嫌なところがあっても、彼も悪気があるわけではないだろう、反省しているだろう、と自分の気持ちを押し殺していた。
喧嘩もないまま1年半が過ぎた。その頃から、彼を失うことが怖くなってきた。
この人は私のどこが好きなんだろう。どうして好きになってくれたんだろう。ストレートに聞いてみてもはぐらかされた。照れ隠しなのか、本当に答えが浮かばなかったのかはわからない。
私自身、自分に同じ問いを投げかけてみても、彼のどこが好きなのか、具体的には答えられなかった。
彼が連絡してきたのは、元カノと会う口実が欲しかったから
この人といると時々不安になる。その大きな理由は、元カノの存在だった。
可愛くて、私の大好きな先輩だ。二人が付き合っていたのも知っているし、二人が別れた後、彼がすごく未練たらたらに引きずっていたのも知っている。
先輩には新しい彼氏がいてとても幸せそうだった。しばらく経ってふと思ったけれど、彼が私に連絡してきたのも、先輩に会う口実が欲しかったからだと思う。私と先輩は同じ学校で、彼は私に連絡してきてすぐ、文化祭に行きたいと言われたから。
真相はわからないけど、女の勘は大概合っている。利用されてたと思うと余計に辛かった。
きっと彼は最初から、私が気になって連絡してきたのではなかった。
この人は、何でも許す私が好きだったのだ。もう疲れた
彼の前で可愛くいたいのに、ヒステリックになって泣いてしまう。彼はそんな私をなだめるわけでもなく、めんどくさそうに「泣くな」と言った。
彼が原因の喧嘩もたくさんあった。嫌われたくない、でも傷ついたことをどうすれば理解してもらえるか、たくさん考えて伝えた。
彼から出る言葉はいつも決まって言い訳。一言めに「ごめん」が出てきたことはない。「たまたまだった」とか「無意識だった」とか。この人は、私が傷ついていようと悲しんでいようと平気なんだなと思った。逃げたいだけだった。
この人は、何でも許す私が好きだったのだ。一緒にいて楽で、そこそこタイプの女の子をそばに置いておきたいだけだ。この人といても、私はどんどん自分が嫌いな自分になっていくと思った。もう疲れた。
別れられたのは、別れを決意してから半年後。別れて最初の3日こそ辛かったが、開放感のほうが大きかった。こんなに重い荷物を背負って泣きながら歩いていたなんて気づかなかった。
人生の5分の1、彼と別れて私には何も残っていなかった。友達より彼氏を優先していた。
憧れの留学も彼に引き止められて結局行かなかった。いや、結局最後に決めたのは自分だった。私自身、自分より彼を優先してしまうくらい依存してしまっていた。彼のせいにして、弱い自分を肯定したかった。
あの頃の自分は馬鹿でどうしようもないけれど、まだ取り戻せると信じている。見返したいほど相手を恨んでもいない。
恨めしいのは、誰かに依存しないと生きていけないこの自分だった。