これだけ人間がいれば、それは三者三様で、例えば…「他に好きな人ができた」とか、「浮気された」「好きじゃなくなった」「価値観が合わなかった」「束縛に耐えきれなくなった」「喧嘩がきっかけで」とか。このうちのどれかであっても、どれでもなくても、理由がわかっているだけで私は上出来だと思う。

“彼氏彼女”の関係にあったのは2人。別れた真の理由が分からない

私の場合、理由が分からない。知らない。今まで、2人の男性といわゆる“彼氏彼女”の関係にあったが、その二人とも、別れた真の理由が良く分からない。2人とも、急に仕事が忙しくなり、連絡が来なくなり、ついには消えていった。これは【仕事が忙しくなった】を理由にするべきなのだろうか。これで納得できる女性はいるのだろうか。少なくとも、私はこれが真の理由にはどうしても思えなかった。だからといって、理由を聞くすべはない。

私は、良くも悪くも普通の女子大生だった。あえて言うなら、社会の隠れたカースト制度を知らず、のんきにいつか、自分は特別な何者かになれると信じて疑わなかったし、そのうち運命の人とかいう幻想の王子様と結ばれると心のどこかで信じていた。自分の知っている“世界”が夢物語だということに気づいたのは、もうやり直せない社会人だった。

ラッキーなことに、容姿はそこそこ恵まれていて、男性に相手にされないと惨めになることはなかった。ただ、自分が好きになる人は必ずと言っていいほど私のことを好きにはなってはくれなかった。それでも妥協はする気になれなくて、“この人だ!!”と思う相手としか付き合わなかった。そんなこだわりを持っていたら、あっという間に彼氏ができずに20歳になった。

元カレAの元カノとは【別れを切り出す事が苦手な人】でまとまった

そんな私に転機が訪れたのは大学2年生の夏に行った留学だった。そこで元カレAに出会った。

彼はいわゆるFラン大学生の私とは違い、都内でもブランドがつく私立大学生だった。出会いが日本だったら、もしかしたら怖気づいていたかもしれないし、もはや出会う事すら出来ない相手だったかもしれない。そう気づいたのはもう少し先の3年後、社会人になってからだった。
彼とは良い関係が築けていると思っていた。彼が転勤になる前までは。彼が社会人になり、遠距離になったとたん、毎日していた連絡が途絶えた。私にとって初彼であったため、私は1週間以上連絡がないことに耐えられなかった。電話で話し合い、結局別れる事になった。話し合いは私から提案したが、ふられた気分だった。

一度、別れなければいけなかった理由を調べようとしたことがある。今の時代、ネットである程度のことまでは調べようと思えば探れる便利な世の中だが、掘ったら掘るだけ黒いものが出てくるだけだった。
Aは私の前の彼女とも私と同じような別れ方をしていた。その元カノいわく、彼女の前の彼女とも、同じような流れだったらしい。その元カノとの間では【別れを切り出す事が苦手な人】という結論でまとまったが、「別れた理由」を探していた私にはなんだかしっくりこなかった。

相手に聞くすべがない。自分の落ち度を探す方が簡単だったのだろう

元カレAと別れた後、元カレBとも同じような別れ方をした私は、彼らに確認する事は出来ないので、別れた理由を知りたくて、いろんな本を読んだ。科学系の本を読めば、私が不安型で彼にとっては重かったのだろうか。と結論づくこともあれば、心理学の本を読み、恋愛自己肯定感がなかったから自爆したのだろうかと、正解のない答えを探しては自分を責めた。
「もっと私がこうしていれば」「もっと私がこうできていれば」
今思えば、相手に聞くすべがない私にとって、自分の落ち度を探すことの方が簡単だったのだろう。もしかしたら、私だけが納得していないだけで、他人から見れば理由は一目瞭然かもしれない。
でも私は、自分がふったのか、ふられたのかも分からなければ、そのどちらの理由も分からないまま、いまだに彷徨っている。