男女の友情は成立するか。
これは古より伝えられし、未だ議論されやすいテーマである。この質問だけで、その人が今までどんな人と関わってきて、どんな恋愛、どんな経験をしてきたかが分かってしまうようにも思う。
私にもこの問題に直面せざるを得なかった過去がある。それは、16歳の頃だった。

私を好きかもしれないAも、Aを好きになったYも仲の良い友達だった

一度だけ、友人と縁を切ったことがある。友人はYという女の子。中学の頃から仲良くしており、高校で同じクラスになってからはいつも二人で一緒にいた。
誰とでも分け隔てなく話すことができ、教室でも人目を気にせず突然歌い出すような、明るくて面白い子だった。Yは席替えで前後になった男子Aと仲良くなり、次第に私を含めた三人でいることも多くなっていった。

ある日Aは突然、私のことが好きかもしれないと言った。好き「かもしれない」と言われても、言われた側はどうしようもない。私はただただ笑って照れを誤魔化すことしかできなかった。高校生の恋愛はもどかしい。
事件はこの後すぐに起こった。直後に、YがAのことを好きだと言い出したのである。
なぜこのタイミング?好きって本気?
そんな私の思いとは裏腹に、Yは恋しちゃった相手への思いを綴る甘酸っぱい名曲を嬉しそうに歌っていた。私はYに話すことができなかった。私の頭を悩ませる事件はさらに続く。夜に、Aから電話がかかってきた。
「俺、あのことYに言ってしまった…」
なんてことをしてくれるんだ。

私と話せるのは10年後と聞き、私の中で何かががぷつんと切れる

翌日、Yは拍子抜けするほど普通だった。私もつい同じように接してしまった。それでも、昨日の電話は夢じゃない。Yは全て知っている。やっぱり言えなくてごめん、と謝ろう。この授業が終わったら話しに行こうと決めた。
チャイムが鳴り、Yのもとへ行こうとすると、何かを察したのかYは猛ダッシュで教室から逃げていった。私も話すと決めたものだから意地で追いかけた。Yは別のクラスの友達の机で泣いていた。
「Y、話したいんやけど」
Yは机に突っ伏したまま泣き続ける。
「今は無理?」
Yは頷く。
「いつならいける?」
「…10年後」

今となっては、この話をすると大抵の人には笑ってもらえる。しかし当時は笑えるはずもなく、この言葉を聞いた瞬間、私の中で糸のようなものがぷつんと切れた。
もう話をしても無駄だと思った。この後私はAから、Yがもう私とは仲良くできないと言っていたことを聞かされることになる。
一方的すぎると思ったが、私はそれを受け入れてしまった。そしてとうとう高校を卒業して今に至るまで、私とYが直接話すことはなかった。

もっと他の方法があっただろうけど、あのときはこうするしかなかった

元々合わない部分もあったのだろう。一緒にいて楽しかった思い出もたくさんあるが、それ以上にお互いが思うところもあったのかもしれない。この出来事はそんな関係を壊すきっかけでしかなかったように今となっては思う。
お互いもっと大人なやり方はあっただろう。それでも、あのときはこうするしかなかった。
もちろん私も悪い部分はあったし、ちゃんと話せなかったことは今でも申し訳ないと思う。Yが何を思っていたか今となっては知る由もない。ちなみにその後Aとも結局気まずくなってしまい、徐々に話さなくなっていった。

Yがいたから、積もり積もったものや自分の不誠実さなどから、人と縁が切れてしまうことがあると知った。人との関係は、自分だけでなく相手の意思もあって成り立つものだと改めて感じた。
男女の友情の壊れやすさや、仲良くしてくれる友人のありがたさも学んだ。こんな過去も、エッセイに書くことができると知った。
あれからもうすぐ10年が経つ。10年後なんて遠い未来だと思っていたけれど、意外とすぐに来てしまった。
Yは今なら話をしてくれるのだろうか。考えても仕方ない。
10年前の出来事がYにとって、若かったなと笑えるような過去になっていることを願う。