高校を卒業した18歳の春、ワタシは運転免許証を取るために、自動車学校の合宿へ隣県に行っていた。
合宿には1人での参加で友達はいないし、自分とは違う方言を話す人たちでいっぱいだった。2週間、ここで1人で過ごさなくてはいけないのか……と、意気込みながら学科を受けに自動車学校の受付に行った初日、あの子が目に入った。
自動車学校で一緒になった「あの子」とだんだん仲良くなっていった
あの子は明るくて、キラキラした笑顔でその場にいる人みんなに挨拶していて、自動車学校の事務員さんも含めてたくさんの人と仲良くなっていた。凄い明るい子がいるな……友達になりたい! が第一印象だった。
そんなあの子は、ワタシより早く合宿に参加していたため、友達になれずに帰って行くのか~話しかけようかな~と迷っていたら、向こうから「おはよう!今日は学科?初日か!」などと初対面なのに話しかけてくれたのだ。嬉しくて「うん!」と返すのが精一杯だった。
それから顔を合わせる度に話しかけてくれたり、5室分向こうのあの子の部屋に遊びに行ったり、ワタシの部屋に遊びに来たり、時間が合えば一緒に学科を受けたり、話す中で好きな食べ物や価値観が似ていることに気づき、だんだん仲良くなっていった。
あの子との楽しい時間はあっという間に過ぎて行って、あの子の卒業の時間が迫ってきている……寂しい……LINEを交換しよう!と思った次の日、卒業するはずのあの子は仮免の試験に落ちて落ちて落ちまくっていて、あの子と同日に来ていた子たちは卒業。ルームメイトがいなくなったあの子は、いつの間にかワタシと同室になるほど試験に落ちていた。
「えっ…同じ部屋?」と私が言うと、「また仮免落ちた!!」と、あの子は試験に落ちているのに明るすぎて笑ってしまい、2人で爆笑した記憶がある。
同室になってからは更に仲良くなれて、学科がない日に2人でお好み焼きを食べたり、お菓子パーティーしたり、たった2週間なのにこんなに仲良くなれるんだ! と感動もした。
その後は2人とも実技も学科も問題なく合格し、ワタシは隣県に帰ることに。その前にLINEを交換してサヨナラした。
自動車学校を卒業してもワタシ達はずっと仲良くて、自分でも驚いた
だいたい離れるとそのまま疎遠になりがちだが、あの子とはなぜかずっと仲良くできた。隣県のワタシの家に泊まりにきた日には、夜中まで好きな人の話をしたり、旅行に行ったり、好きなアイドルの遠征も一緒にした。
彼氏ができれば1番に報告したし、辛いときには一緒に泣いてくれたり、否定されて傷付いたと言ったら、それを全肯定してくれたり、喧嘩もしたけどすぐに仲直りもした。普段ワタシの友達の名前を覚えない母ですら、覚えるくらい遊んでいた。
ワタシが上京した時も、寂しいと言いながら年に1回は必ず遊びに来てくれて、気付けばあの子と出会ってから10年。こんなに長く付き合える友達ってできるもんなんだと驚いたこともあった。
そんな中で、上京して今いる環境、育ってきた環境が違う中で、合っているなと思っていた価値観が少しずつズレてきていた。環境が違うから仕方ない、ワタシが勝手にモヤっとしているだけなんだろうなと思っていた。そう自分を騙していた。
それでも段々モヤモヤは積もっていき、自分にモヤモヤした時は、自分を客観的に見てその人から離れるか、離れないかという見方をしていたワタシは、あの子から離れた。
一生懸命に「依存していた」あの子から、ワタシは距離を置いた
自分に嘘を吐けなかった。自分の中のモヤモヤを拭わずにはいられなかった。それでも離れたらモヤモヤは晴れた。自分のために、10年共にした友情を捨てた。LINEはブロックし、電話番号は着信拒否。側から見たらとんでもない酷い人だと思う。
それでも、ワタシはあの子から離れて良かったと思っている。お互いに依存し合ってるように感じていたから。それに気付けたのは、あの子のおかげ。ワタシと離れて、あの子も一生懸命に依存していた自分に気付くと思う。それくらいの自分の気持ちは、感じ取れるはずの子だから。
もう伝えられないけれど、今までありがとう。そして、突然離れてごめんね。良い親友でいてくれて、依存に気付かせてくれて、これを学びに人との距離を勉強したし、変な縛りがなくなってスッキリさせてくれて。
これだけやっても出会う時は出会うと、ワタシは信じてるから身勝手だけど、その時はまた2人で爆笑できるといいな。