あの頃の私たち。雪が舞い散る真っ白な通学路。肉まんをお供におしゃべりしながら歩く、あの日々が今も忘れられない。
これは、ずっとお世話になっている、あの子へのラブレターだ。
再入校した高校、年上の私は好奇の目に晒されていたけど彼女は違った
私の高校生活は、黒に限りなく近いグレーだった。高校で不登校になり、再入学した高校で、年上ということがほどなくして噂になった。周りからの好奇の目に晒され、肩を落としていた時期。そんな時、私のことを私として、見てくれたのが彼女だった。
体育の時間、たまたま一緒にグループを組むことになったのが出会い。体育の授業中、ぽつぽつと話をした。言葉数は少なかったが、共通の好きなアーティストの話をしたのが印象的だった。第一印象で「よくわかんない子だけど、地味な子だなあ」と勝手に思っていた。
次の日、学校に行くと、先に来ていた彼女から1枚のCDを手渡された。なんと、昨日話していたアーティストのおすすめトラックをCDに焼いてきてくれたらしい。突然の距離の詰め方に、私はめんくらった。昨日、地味とか思っていてごめん。ボディブローがじわじわ効いてくるぞ。
その時、同時に「この子とは絶対仲良くなれる」と思った。だって、面白すぎる。クレイジー! 最高だよ、あなた。予想通り、私たちはどんどん仲良くなった。
お互いの欠点を言い合い、ぶつかることもあったけど「戻れる関係」
ある日は、田舎のカラオケボックスで、8時間こもって熱唱し続けた。またある日は、2時間で回れるようなファッションビルを6時間回って、服を選んだ。お金を遊びに使いたいから、お昼ごはんはいつも200円のうどんだった。
そして、歩いて25分の通学路、私たちはたくさんのことを話した。クラスのこと、好きなアーティスト、進路のこと……。雪の日も顔を赤くしながら歩いた。お供は、通学路に1つしかないコンビニで買った肉まん。そんな日々が今も宝物だ。
私は、人と衝突することをできるなら避けたいタイプ。それなのに、彼女とは最初からぶつかり合うのが怖くなかった。若かった私たちは、自分や相手の欠点を言い合うこともあった。「そのスカートの柄、変だよ」と、ファッションにダメ出ししあったこともあった。
何度もぶつかって、そのたびにその欠点すらも「しゃーないな!」って許せるようになった。ケンカしても戻れる、その関係性に本当に救われていた。
もちろん、彼女と出会ったからといって、相変わらずクラスメイトから遠巻きにされ、数人の友人しかいない現状は変わらなかった。私も私で、年齢差が気になって、クラスメイトと仲良くなる勇気はもはや枯れ果てていた。
「彼女」が私という人間をまっすぐ見て、ぶつかってきてくれたから
そんな中、私という人間をまっすぐ見て、ぶつかってきてくれた。彼女がいなかったら、私はグレーな高校生活を続けることはできなかったに違いない。彼女は私にとって、グレーな高校生活のたった1つの光だった。
合理的で、熱く、情が深くて、周りの人間をとっても大切にする彼女。人並みな言葉しか見つけられないけど、大好きだ。
卒業を機に、私たちは遠く離れることになった。それからも連絡を取り続け、10年以上経った今、奇しくも、私たちは近所に住んでいる。よく遊びに誘ってくれる彼女。今度、お互いの誕生日を祝いに、一緒にパフェを食べに行く。
彼女が作ってくれたオリジナルアルバムは、今も手元にある。引っ越すたびに連れて行って、もはやボロボロだけど、数少ない青春のかけらのようでなかなか手放せずにいる。これからも私は、このアルバムを人生のお供にしていくんだと思う。