気づけば、だいぶ日も長くなっていて、プチ衣替えをしよう! なんて思った今日この頃。圧縮袋を開いて、洗濯機をまわして干しての繰り返しをしていれば、出てきたのはノースリーブのワンピース。思わず苦い顔をしてしまった。

可愛いと思って昨夏買ったのに、結局勇気が出ず一度も着れなかったのだ。

一目惚れした「ワンピース」。でも、急にそう思えなくなってしまった

もともと古着が好きで、ブカブカの柄シャツにロールアップジーンズ、なんて格好が基本スタイルだった。けれど色んな雑誌を見たり、友達を見たり、どんどん好みも変わっていって色んな服を着てみたいと思うようになった。

そんな時、お店で見た瞬間惹かれた深緑糸のノースリーブワンピース。すごく大人っぽくて、なんとなく肌を見せるのには抵抗があった私だけど、一目ぼれして買ってしまった。ドキドキして広げたその服を、着れる日を楽しみにしていたのに。

友達とのお出かけ、恋人とのデート、着てこうと思って何度も上着やカバンを合わせた。「よし、これで行こう」そう思うのに、出発時間が近づくにつれ、何となく落ち着かなくなって、変かな? なんて思ってしまう。結局、別の服に買えてしまう。こんな事の繰り返し。あんなに可愛いと思っていた服が、急にそう思えなくなってしまうのだ。

二の腕を出すという事にどうしても抵抗があって、個人的には太ももを出す事よりも大きな抵抗かもしれない。肩幅が広い事が昔から少しだけコンプレックスで、高校時代の部活動でついた筋肉もまだついたままで。ついには買ったことまで後悔してしまいそうで、「来年着よう」なんて、自分に言い聞かせてクローゼットの奥にしまったのだ。

母のからかいの言葉で「お洒落をすること」に対して、心が軽くなった

こんな悩みを吹き飛ばしたのは、意外なきっかけだった。現在、大学進学で1人暮らしをしている私が実家に帰省し、母と買い物に行った時の事。

洋服屋さんで服を試着していれば、服やお化粧に昔から無頓着の母は、欠伸をしながら「あんたに一番似合うのは半袖短パンなんだから」と言うのだ。「他はなに着ても変わらんよ」そう言って、次の欠伸を噛み殺し笑いながらからかってくるから、「ちょっともう!」なんて私も笑ってしまって。

高校生の時は、部活一筋で毎日ジャージで登校していた。休日もほとんど部活で、休みなんて年に2桁もなかった。服にもお化粧にも全く興味がなくて、お洒落が楽しいと思うようになったのは本当に大学生になってから。そんな背景を知っているからこその母のからかいの言葉に、なんとなく心が軽くなった。

似合う似合わないは人それぞれ。私は、私の可愛いを楽しみたいのだ!

誰かの可愛いは、他の誰かにとっては可愛くないかもしれなくて、でもそんなの当然で、似合うから・似合わないから、そんな観点から服を選ぶのも当然いいけど、似合う似合わないだって結局は人それぞれなのだ。

だったら、気にしなくていいじゃないか。私は、私の可愛いを楽しみたいのだ!

洗濯機からワンピースを取り出して、大切に大切にシワを伸ばした。ハンガーにかけて、青空が広がるベランダに干す。生暖かい風にゆっくりと揺れる深緑色を眺めて、「夏よ早く来い!」なんて思った。