ちょうど2年くらい前。
あの日曜日から始まったんだよね、私たち。

あの日、友達から突然「友達がバーで飲もうって。一緒に行かない?」と連絡がきた。次の日に仕事があったから遊ばないつもりだったけどやっぱり行きたくて、「必ず、終電で帰るよ」と約束してバーに行った。

「一緒に家に帰ろう」とせがんだ。週末は君の家で恋人ごっこをした

そしたらそこにいたんだよね、君が。

だいぶお酒が入っていたから、私たちが最初どうやって会ったのかはまったく覚えてない。だけど「ハーフみたいでかっこいいな、あの男の子」って思っていたことだけは記憶にある。私が話しかけたのか、もしかしたら君が、いや私だね、きっと。

その後、一緒に飲んでお互い完全に酔っ払って終電を見事に逃した。私たちはそこからあーもうしゃーないやと思って朝まで思いっきり飲んだ。そしたら、なんだか寂しくなってきて、君に「一緒に家に帰ろう」ってせがんだんだよね。

君は最初、乗り気じゃなかったけど、結局「いいよ」って。そこから、週末は私が君の家に入り浸るようになった。

でも、私たちは一度だって彼氏と彼女じゃなかった。毎週末、家に行っては恋人ごっこをするだけ。一緒に寝て、ハグしあって、「かわいいね」「私、かわいくないよ」「いや、かわいいよ」をバカみたいに繰り返して、お腹が空いたら徒歩2分のマックに行く。

お気に入りはマックだったな。君とは家で会ってばかりでデートなんて行った試しがなかったけど、マックに行く時だけはデート気分を味わえた。もっと遠かったらいいのにって何十回思っただろうか。

一度も言わなかったけど、こんなこと全部が私にとっては初めてだった。君が私にしてくれたこと全部。初めての彼氏にだけはなってくれなかったけどね。

「私、もう家に行かないね」。私との未来を見ようとしなかった君

家で過ごす時間はとっても楽しかったけど、君は私のことをこれぽっちも大切になんてしてくれなかった。友達の方が何十倍も大切で、電話一本で飛んで行ってた。それに、いつも私だけに自分の時間を割くのが惜しそうだった。

一日中寝てばっかりなんてことも日常茶飯事。それで、もうさすがに家に居る意味ないやと思って「私、帰るね」と言うと、「帰っちゃうの?」と一言つぶやくの。屈託のない子犬みたいな目でこっちを見ながらね。そうするともう帰れなくて、気づくと何時間も君の散らかった部屋で過ぎていた。

ある日、そんな週末を何度も繰り返して、私は君の家に行くのをとうとうやめた。
私たちには、何の未来も待っていなかったから。

君との関係は全てがぼやけ過ぎていて、先が何も見えなかった。というよりか、君は私との未来を見ようとはしていなかったよね。見ようとすれば見えたけど、見たくなかったんだろうと思う。だから、終わりにした。

「私、もう家に行かないね」「そう決めたなら、俺は止めないよ」
これが、私たちの最後のLINE。

涙が止まらなくなった。涙の量がどれだけ幸せだったかを教えてくれた

あっけなさ過ぎて、最初は涙も出なかった。君にとって私が何でもないことは知ってた。代替が効くことも、何の情も持ってないことも。自分の都合の良いように解釈して見ないようにしてただけだ。

それでも、それを頭で理解し始めた途端、心臓の当たりがぎゅーっと絞られていくのが分かった。そしたらやっと涙が出始めて、止まらなくなった。
あの時、君の部屋で、私はどれだけ幸せだったか。涙の量が教えてくれた。

今、君がどこで何をしているのか。
可愛い彼女さんは見つけたのか。
元気にしてるのか。

聞きたいことは山ほどあるけど、私たちはもう交わらない方がいい。いつだって君は私を磁石みたいに引きつけて離さないから。当の本人はそんなことをしているなんてまるで分かってないんだろうけど。

私は迷惑になるのが一番嫌い。

だから最後にこれだけ、ありがとう。