あれ?昨日までは一緒に喋ってたのに……。
他愛もない話をして笑いあっていたのに……。
ペアも組んでくれたのに……。
私の声が出てないのかな?
私の耳が聞こえないのかな?
私、今ここに存在してないのかな?

「私、なんかしたかな?」何度考えても、結論は出なかった

中学校に入学した私は、バレー部に入部した。中学の部活なんて、友達と一緒に入るのがあるあるみたいなところがあるけど、私は1人で入部届を提出しに行った。
勝手に弁解しておくが、別に友達がいなかった訳ではない。小学校からバスケをしてたり、水泳をしてたり、そういう子が周りに多くて、誰もバレーに興味を示してくれなかっただけ。

バレー部に入部した同級生は私を合わせて7人だった。はじめの頃の記憶はないけど、それなりに仲良くやっていたと思う。
だけど半年過ぎたあたりだったかな、突然その日はやってきた。

何だかみんなの様子がおかしくて。「あーなんか私、外されてるなー」って一瞬で感じ取れるくらいだった。とりあえずその日は自分の存在を消して過ごした。
部活中の2時間くらい話さなくたって別に大丈夫だった。先輩はいつも通り接してくれていたし、帰りは普段からバスケ部の子と帰ってたし。

家に帰ってから「私、なんかしたかな?」って何度も考えたけど、結論は出なかった。
その日から、話しかけてもそっけない態度をとられたし、無視されることもあった。陰でコソコソ話されてるなって感じることも多くなった。土日の部活の時には私を除いた6人で、学校に来る時間を合わせて、練習が始まるずっと前に集まったりしていたみたい。

1番仲がよかった子に話しかけた時は、その子の様子が明らかにおかしくて、周りの目を気にしているのがよくわかった。
すごく大人しくて、優しい性格の子だった。だから、この子だけは喋ってくれるかなーって少し期待してたけど、やっぱりダメだったみたい。私が話しかけると、この子も良く思われない。だからなるべく話しかけないようにした。この子を守ろうっていうよりは、たぶん自分がこれ以上傷つきたくないって気持ちが強かったんだと思う。

仲間外れにされていた理由は、本当に些細なことだった

バレー部は週に1回、体育館が使えない日があって、その日はみんなで練習して、その後各自で自主練習をしていた。大抵同学年で練習してたけど、私はどうせまた仲間に入れてもらえないからと、1人壁に向かってトスの練習をしていた。

それを見た先輩たちから私は呼び出された。たぶん、先輩は「なんで一緒に練習しないの?」ってちょっと怒っていた気がする。
なんで私が怒られなきゃいけないの?と涙目になりながらも、仲間外れにされていることを伝えた。

私との話が終わった後、先輩たちは6人にも話をしたみたいで、6人は私に謝りに来て一応解決という形になった。私が外されていた理由はたしか、私が率先してコートやボールの準備をするのが気に食わなかった、とかだった気がする。
ただ後輩の仕事として、良かれと思ってやっていた行動が、いい子アピールしているように見えたのかな。私がんばってます感がでてたのかな。

私に全く非がない訳ではなかったのかもしれない。だけどこの時は、こんなことで人って嫌われるんだって思った。

同級生を許すことで、自分の気持ちを裏切ってしまった

「ごめんね」の一言ですぐ許せるような広い心の持ち主ではないし、正直なところ全然納得できてなかった。でも、あの頃の自分は弱かったから何も言えなかった。自分が受け入れることで解決するなら、と諦めたんだと思う。
このとき私は完全に自分を裏切ったんだ。

本当は許したくなんかなかった。
本当は部活なんて辞めてしまいたかった。

だけど私は自分に正直になれなかったから、許す選択をしたし、続ける道を選んだ。部活を辞めなかったから強くなれた部分もあるし、これが間違いだったとは言えないけど、何年経ってもモヤモヤしたままずっと残っている。

その時はすべて飲み込んで、以前のような関係に戻っていったけど、少し時間が経ってからまた仲間外れが始まった。今度は私ではなくて、別の子だった。
「あー、またこういうことやるんだ」って、うんざりした。だけど、あの頃の私には止めることもできなかった。

「もうやめようよ」って言えたらよかったのに。また自分が外されるのが怖かったんだ。痛みを知っているからこそ、止めなきゃいけなかったのに。守ってあげなきゃだったのに。せめて私だけは……って普段通り接したつもりだったけど、本当にできていたか自信がない。
結局、自分も同じようなことしてたのかなって。

信じるから裏切られる。でも、自分のことはもう裏切りたくない

人は結構簡単に人を裏切る。
どれだけ綺麗事をならべても、結局は自分さえよければそれでいいんだよね。
だから私は人を信じることをやめた。
自分を守るひとつの方法として。

そもそも、信じるから裏切られるんだ。信じなければ裏切られることもないし、傷つかなくて済む。

誰も信じられないのは可哀想だなって思うかもしれない。自分でもこんな自分は可哀想だと思う。でも私はこの方法で自分を守ってきた。だから友達付き合いはどちらかと言えば、広く浅くって感じで、仲がいいって自信を持って言える友達は本当に数人だけ。
こんなスタンスでいるから私のことを苦手だな、嫌いだなって思う人も多いかもしれない。だけどそれは人間だから仕方ないって今はもう割り切れる。

ただもう前みたいに自分で自分を裏切ることだけは絶対にしたくない。いつだって自分に正直に生きたいし、可哀想な人間でいいから私が私の1番の味方でいたい。