彼氏がいるときの私は、彼中心の生活になってしまう。彼が好きな食べ物を一緒に食べ、彼が観たい映画を一緒に観る。「何食べたい?」「何したい?」と聞かれても、彼と一緒ならば正直なんでも良かった。無理をして合わせていたのではなく、「一緒にいたい」と思うこと以外に自分の意志がなかった。

彼のためと思えば、疲れていても料理や掃除だって頑張れたし、彼に会えると思うと嫌な仕事も頑張れた。彼氏がいるとキラキラ前向きに過ごせる恋愛体質で、依存してしまうようなタイプだと思う。

元彼と別れてから、わずか半年後に社内会報誌を通して知ったこと

そんな私が恋愛に興味がなくなったのは、1年前くらいからだと思う。2年前に付き合っていた彼が原因の一つであることは明らかだ。性格の不一致や価値観のずれなどを理由に別れるカップルは珍しくないと思うが、私も同じような理由で彼と別れた。

最初は未練を引きずりながらも、時間が経つにつれ徐々に忘れていった。ここまではよくあることだと思うし、また少しすれば素敵な人と恋愛できるだろうと信じていた。

しかし、問題はここからだった。ある日、会社のデスクを整理しながら新しく発行された社内会報を開いた時、結婚報告の欄に彼の名前を見つけた。しかも相手は、同じグループ会社の社員だった。

私と別れてから、わずか半年後の出来事だった。そして、その半年後には、今度は子供が生まれていたことを、またしても会報誌を通して知った。既に未練は残っていなかったが、彼の切り替えの早さに驚いたのと同時に、同じ職場で女を食い漁っていたことが気持ち悪くて仕方がなかった。

会報誌を見てから、人と親密な関係になることが煩わしいと感じるように

思えば、私と付き合いながらもマッチングアプリをやっていたし、平日は毎日終電で帰るため会えない、週末は勉強が忙しいと言われ、浮気を疑ったこともあった。スーツの似合う仕事熱心な好青年、余裕のある大人の男性、という第一印象だっただけにショックは大きく、騙された気持ちだった。

私と付き合いながら浮気をしていたのかもしれない、もしかしたら私が浮気相手として遊ばれていただけかもしれない。そう思うと、彼に対する怒りや絶望、それに気づかず彼を好いていた自分の愚かさや不甲斐なさで、吐き気が止まらなかった。

この出来事があってから、恋愛すること、人と親密な関係になることが煩わしいと感じるようになった。異性から向けられる好意を気持ち悪いと思ってしまい、素直に信じられない。

深く関わらないことが、誰も傷つくことのない唯一の方法だと思い、距離を取ってしまう。人を信じない、寄せ付けない、壁を作って生きているのだから、もちろん恋愛に発展するようなことがない。

誰かのためではなく、「自分のため」に生きることが充実して楽しい

あれほど人に影響されやすく、彼中心の生活をしていた恋愛体質の私が、今では一人で過ごすことがとても気楽で快適になってしまった。誰かのためではなく、“自分のため”に生きることが充実していると感じ、楽しい。

正直、元彼が原因で新しい恋に進めないなんて、ばからしいと思う。世の中にはたくさんの人がいて、みんながみんな元彼のような人間ではないのだから。

だからといって、恋愛モードではないのに、無理に恋愛する必要もない。自分中心の、自分だけをめいっぱい可愛がる今の生活は、以前の私より意志がはっきりしていて、よっぽど人間らしい気がする。

きっと私のことだから、今はこんなに頑なに「恋愛する気なんてない!」と言っていても、自分とちょっと波長の合う、良い感じの人に言い寄られたらコロッと気持ちが変わることもあり得ると思う。それくらい私は単純で、実は心の中ではぬくもりを求めているのかもしれない。

また「恋愛したい」と思える素敵な人に出会えるまで、自分のために、マイペースに、自分の意志で、のびのび生きていようと思う。