私には社会人になってから出会った仲の良い友人がいた。
会えない日でもいつもLINEで連絡を取り合い、お互いの近況報告はほとんど毎日していた。
会社のこと、好きな音楽のこと、そして男の人の話……。
あの頃の私たちは毎日でも話す内容が尽きなかった。

ドタキャン癖や引っかかる点があっても、気が合った彼女は親友だった

「社会人になってから、こんなに何でも話せる人ができるとは思わなかった!」
「彼氏ができたら1番に紹介するね!」
「1番の親友だからね!」

そんな話をいつもされていて、私も彼女といる時間は楽しかったので、満更でもない気持ちでいつも喜んでいた。
でも彼女に対して実は1つだけ引っかかることがあった。
……男性への執着だ。
元々彼女は男性にモテるタイプであったが理想が高く、気に入らない男性が寄ってくれば遊びはするが、飽きたら切り捨てる様な魔性の女タイプだった。
それは彼女から話を聞いていても分かるのだが、私達友人に対する態度にも滲み出ていた。

私と遊ぶ約束をしていても、男性からの誘いが入ると何かと理由をつけてドタキャンをする。
「浴衣を着て花火に行こう」と約束をしていた時も結局彼女は来ず、1人浴衣で花火を見ながら歩いた過去もあるほどだ。
それで怒れない私も私だが、彼女のドタキャン癖は私以外の友人にも同様で、別の友人と会うとお互いの悲しいドタキャン経験で数時間も盛り上がれるほどだった。
男性好きだと分かっていながらも、嫌な思い出ばかりでも無く、気も合ったのでしばらく彼女とは仲の良い友人関係でいた。
彼女が私を裏切って、男性の元へと行ったあの出来事が起こるまでは。

合コン相手は親友の彼氏。心配させないため詳しく話さなかったのに

それは彼女が合コンで新しい彼氏を見つけた頃のことだった。
彼の話は聞いていたが、実際に会ったことはなかった。そして私は私で彼氏が欲しい!と何度か合コンに参加をしていた頃だった。

とある合コンで話をしていた男性が、妙にその友達の彼氏に特徴が似ているなあと思い、思い切って話を振ってみたらビンゴ。その人は友達の彼氏だった。最初こそ動揺していて話を誤魔化そうとしていたが、私があまりに詳しかったから折れたのだろう。
その合コン自体、「みんな彼氏・彼女がいない」という前提だと話を聞いていたためそこで不信感を持ったが、その時は「言い出しづらかったんだろう」くらいに思っていた。
しかし、飲み会が終わり帰ろうとしていた時、この後2人でどこか行かないかと誘われた。
酔っていたにしても気持ちが悪かったので、私はそのまま帰った。よくよく話を聞いてみたら合コンを開いてくれた友人とも以前は体の関係にあったらしい。

彼女とはその頃仲良かったので、その日に合コン行くことは話していたため、「今日の合コンどうだった~?」というLINEが来ていた。
言おうか迷ったが、友達の彼氏がいたことは伝えたが、「話したよ」とだけ伝えてそれ以外の話は心配させても悪いと思いしなかった。

後日私が別の友人に、実は友人の彼に誘われたこと、その頃子供を欲しがっていた彼女だが、彼は子供は嫌いだからいらないと断言していたこと、それを聞いてしまった私はどうしたら良いのか……を相談した。その時は解決策は出なかったが、なんと後日その友人が彼女にその話をしていた。

「親友」という名のもろい友情を乗り越えて、自分の幸せを掴みたい

そこから彼女からの毎日のラインはなくなった。申し訳なかったかなあと思い一度電話をしてみたが、「そんなことで電話したの?!」と言われすぐ切られた。
彼の方からも「変な話はするな」という文句だらけのLINEもきた。自分の記憶を改ざんして彼女と上手く関係を続けていこうとしているその彼のことを、心の底から気持ち悪いと思った。その後何かの折に友人に話をしたが、またその友人は本人に伝え、関係がこじれたため、友人の口の軽さにも幻滅した。もう面倒だから何も言わないことにした。

そこからその2人、そして友人からは連絡が来なくなった。「何故私がこんな目に遭わないといけない……」と思っていたが、そんな人たちとの関係を断ち切ったからか、良い出会いもたくさん訪れる様になった。

何ヶ月か経った後、その2人が結婚したということをSNSで知った。正直最初は、浮気されて不幸になればいい……と思っていた。そして彼女の顔を見ると今でも思い出す、裏切られた記憶を。
「親友」とまで言って仲良くしていたのに、男が出来た途端に簡単に捨てるんだなあと。元々その節はあったので、関係が悪くなった頃には心のどこかで「彼の方に行くんだろうな」とは思っていた。
しかし、やはり悔しさはあるし、私を裏切ってまで彼を選んだことをいずれ後悔すればいいとも思う。でももう他人。勝手にすればいいが、人を傷つけて得た幸せは、私には嘘の幸せにしか思えない。
しかし、人を恨んでいても自分が不幸になるだけだと思う。私は彼女のことを反面教師にして自分の幸せを掴んでいこうと思っている。
親友という名の、もろすぎる女の友情を乗り越えて。