二子玉川高島屋、嫌でも忘れられない場所になってしまった。
合コンで知り合った女子大出身のCAに半年でプロポーズしたらしい
コロナがやや落ち着いたかに思えた初夏のあの日、久々の気分転換にと買い物に出かけた私の目に入ってきたのは元カレ。しかも新しい彼女と手をつないでいた。心臓が止まりそうになる衝動を押さえて足早に逃げる私。え?1年前、よりを戻して結婚しようと言ってきたじゃない。あの女はだれ…?
その日の夜、見かけたよ、彼女できたんだねと連絡をしてみると衝撃の一言。「僕、結婚することになった」と。合コンで知り合った女子大出身のCAに半年でプロポーズしたらしい。たしかに美人だった。その瞬間、私の目からは大粒の涙があふれた。泣いても、泣いても涙が枯れなくて翌朝、目が覚めるとまた自然と涙がこぼれた。人は夜から朝にかけて泣き続けることができるらしい。大抵のことは寝ればリセットされるのに今回に限って例外なのかと絶望した。
1人でいるより2人でいるほうが孤独だった
付き合ったのは4年前。大学のゼミが同じで、気づいたら彼が隣にいた。自然な成り行きだった。初めて二人で映画デートをした日、彼はこの日のためにお父さんが洋服を買ってくれたことを照れながら話してくれた。そんな初々しい彼が大好きだった。お互いの実家を行き来していたし、社会人3年目くらいで結婚しようねと言われていた。純粋だった私は何も疑わず、ただ彼の言葉を信じていた。付き合っていた間に異性の友人と2人でご飯に行ったことはない。
2人の関係に変化が訪れたのは社会人1年目の秋ごろ。環境の変化だろうか。優しかった彼は「もっと自立してほしい」「僕に期待しすぎているのがしんどい」と言い出すようになり、あからさまに私にイラつくようになった。1人でいるより2人でいるほうが孤独で、死んだ魚の目をして遠くを見つめる彼は、どんどん私の知らない人になっていった。
失恋後の私は夜な夜な酒に逃げ、自分がこうも変わるのかと唖然とした
振り返ってみると当時の私もだいぶヤバかったので彼だけを責められない。某大手マスコミに就職した私は連日の接待飲みと慣れない仕事に忙殺され、心身ともに疲れきっていた。そんな中で大学時代からの彼氏に依存してしまうのはしょうがない。でもそれが負担になってしまったようだ。
結局、しびれを切らした彼から別れを告げられた。大学生から社会人になり別れてしまうカップルの話はよく聞くけど、まさか自分たちがそうなるとは…。
その後の私は夜な夜な酒に逃げ、あんなにも真面目だった自分がこうも変わるのかと唖然とした記憶がある。“時間がクスリ”という言葉はあるけれど、失恋すると1日1日が長くて仕方がない。少しでも暇があると涙があふれてしまうので、お酒と飲み会のどんちゃん騒ぎで気を紛らわせるしかなかった。
彼氏はいないけど、4年前よりは自分のことを好きになれた気がする
実はそのあと一度、復縁を迫られた。よりを戻して結婚しようと。そのとき私には新しい彼がいたのでお断りし、気づいたら二子玉川で彼の結婚を知ってしまった。
でも復縁を迫られて思ったことがある。振られたときは自分を全否定された気がして絶望するけど、そんなに落ち込まなくていいんだよと。相手への感情は環境やタイミングが多分に影響している。誰かに振られたとしても、そのままのあなたを愛してくれる人はいるだろうし、なんなら時間が経てば振られた相手に再び好かれることもある。だから目を腫らすほど泣かないで。
結局、私は新しい彼とも別れてしまい、今は独り身アラサーをやっている。あんだけ自立しろと言われた私も東京タワー近くのマンションに住み、家賃を払い、ご飯を作り、ちゃんと仕事もする毎日を送っている。今度はあまりに自立しすぎて逆に結婚できないかもしれない。
でも今の自分がすごく好きだ。彼氏はいないけど、4年前よりは自分のことを好きになれた気がする。彼の結婚を知って、泣いて泣いて泣きまくったけど、今は晴れやかな気持ちだ。一緒にはなれなかったけど、あれだけ好きになれる人と出会う人生もそうそうないだろうから。