特集:メイクとの距離感

「薄めのメイク、素敵」。違うんです、私はただメイクが下手なだけ

メイクとの距離感

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「ナチュラルメイクで良いね」
「薄めのメイク、とても素敵だと思うよ」
メイクをして人に会うたびに、いつもこう言われる。……違うんです、私はただメイクが下手なだけなんです。心の中で、そう否定する。
しかし、もちろんそんなことは口には出さない。曖昧な私の反応を、相手はどう受け取るのだろうか。

男ウケ狙ってメイクしていないし、自分の望む顔になれれば良い

どうしてなのだろう。濃いメイクはチャラい、遊んでいるというイメージが持たれ、薄いメイクは清楚で、その上男ウケも良いだなんて言われるのは。
別に私は男ウケなんて狙っていないし、必ずしも先述の偏見が正しいとも限らないはずだが、なかなか人々の考えは変わらない。

そもそも私は自分の顔があまり好きではない。
奥二重の小さな目、低い鼻、面長の顔。コンプレックスを挙げたらキリがないほど、自分の顔に自信が持てない。
私のような女性はきっと他にもたくさんいるだろう。彼女たちは、整形こそ望みはしても、実際はお化粧をして少しでも自分を可愛く見せようとするのではないか?
だから、不自然なほど涙袋を強調し、アイラインを引きまくって目を大きく見せたり、これでもかというほどリップを塗ってぷっくり唇を魅せるのではないだろうか。そうして完成されたメイクは、きっと彼女たちの自己肯定感を満たし、上げていく。
しかし、男性からの評価は一概に高いとは言えない(中には濃いメイクが好きな人もいるけれど)。
でも彼女たちはそんなこと全く気にしていない。自分の望む顔になれれば良い。きっとそれだけなのだ。

メイク下手で薄めメイクの私とメイクが濃い友達に必要なことは一緒

私だってメイクで自分の顔を華やかに見せたい。その気持ちは充分にあるのに、どうにもメイクが下手なのだ。
YouTubeでメイク動画を見て真似してみたり、メイクが上手な友達に教わってみたり、色々と試行錯誤を重ねたのだが、技術は一向に上達してくれない。そうしていずれは、失敗を恐れて簡単なメイクしかできなくなる。その結果、ナチュラルメイクと呼べそうなものが完成するのだ。

私の友達に、いつ会ってもメイクが濃い人がいる。彼女もまた、私のように自分の顔にコンプレックスを抱える女性の一人だ。いつだって外見の評価を(特に男性から)人一倍厳しく受けて来た彼女のメイクに対する姿勢には圧倒される。
髪を明るく染めていることもあり、確かに見た目は少々派手だが、チャラい感じはなく、中身もとても純粋で素直な良い子だ。
しかし彼女は言う。「ずっとこのメイクと生きてきたから、自分の素顔を見るのが怖い」と。
ああ、私にはその気持ちを分かってあげることはできないと思った。逆に、薄いメイクしかできない私の気持ちも彼女には理解できないだろう。
私たちに必要なのは、そんな自分を認めて受け入れることだと思う。そしてそれをする勇気。わかっていても難しいことだ。

自分の顔を好きになり、悩みをチャームポイントに変える勇気を

それから数年。私は結婚し、妊娠出産を経験した。子育てや家事に時間を取られ、さらにコロナで友達と遊ぶ機会もめっきり減り、おめかししてデートすることもなくなり、メイクすることもほとんどなくなった。
つい先日、一年以上使わなかったポーチの中のメイク道具一式を思い切って全部捨てた。もったいない気がして少し心が痛んだが、また揃えれば良いやと思った。

今、私は二人目を妊娠している。この先もしばらく、自分の顔にメイクをすることはないだろう。
でもまずは少しでも自分の顔を好きになりたい。コンプレックスだった部分をチャームポイントに変える勇気を持ちたい。そして、冒頭の言葉を言われた時に、こう返したい。
「ありがとう。普段はナチュラルメイクだけど、ほんとは濃いメイクもできるんだよ」

いつかは、華やかに着飾った自分の顔を見れる日が来るだろうか。

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