生理にまつわる印象的な思い出は、やはり“初潮”です。もう15年も前の出来事ですが、よく覚えています。

嬉しいのに恥ずかしい、人に言いふらしたいのに言えない、なんとも不思議な感情。

初潮を迎えた日記に「ついに来たよ私にも生理!ひゃほー!」書いていた

その頃、周りの女の子達が次々初潮を迎えていて、私はいつかいつかと焦っていました。彼女達の大きくなっていく胸を横目に、あまり膨らまない自分の胸に、少しがっかりもしていました(結局大人になっても貧乳のままでした)。

大人の女性になる過程の一つとして、生理を大きなイベントのように私は待ちかねていたのだと思います。私にとって生理は大人の女性としての象徴でしたし、そこには憧れやワクワクした気持ちがありました。

「ついに来たよ私にも生理!ひゃほー!」初潮を迎えた当時の日記には、こんなふうに書かれていました。私も大人へと着実に前進したのを感じ、嬉しさに跳び上がっていたのです。

しかし、初潮から私は生理の“辛さ”を突きつけられることになります。貧血と腹痛で授業中に倒れそうになったり、ナプキンのあて方も慣れていないから、経血が漏れて死ぬほど恥ずかしい思いをしたりして、嬉しい気持ちはほんの一瞬でした。経血のついた下着を手洗いしながら、惨めで情けない気持ちになりました。

あの憧れの気持ちはどこへやら、早く生理が終わればいいのに、と願ったものです。“初潮”という名の洗礼を受けた私は、生理に対する喜びなんて、もう感じることはありませんでした。

生理痛は人それぞれだけど、 まさに災害のような理不尽なことばかり

大人になって周りを見渡しても、“生理”に対してポジティブな感情を持つ女性はあまりいません。月に数日から1週間程度、膣から出血するため、ナプキンをつけて過ごします。ナプキンのテレビCMのように「つけているのを忘れちゃう」わけがなく、その不快感は相当です。

それだけでなく、人それぞれ様々な体調不良が起こります。腹痛、頭痛、だるさ、微熱という身体に起こるものもあれば、イライラ、不安感、無気力、気分の落ち込みといった精神に起こるものもあり、いろんな形で降り掛かってきます。私達が何か悪い事でもしたのでしょうか? まさに災害とでも言いたくなるような、理不尽なことばかりです。

私の場合は特に腹痛がひどく、月に数日は下腹部の鈍痛に耐え続けます。精神面も不安定になり、涙が止まらなくなることもしょっちゅうです。「どうしたの?何があったの?」という疑問は、他人からだけでなく自分の中からも湧き上がるのですが、そこに明確な理由は見つけられません。生理を引き起こす“ホルモン”が為せる技だと、堂々と言えたらいいのですが。

出産を経験して、生理を少しだけポジティブに考えられるようになった

そんな“生理”を、今は少しだけポジティブに捉えられるようになりました。そのきっかけは、“出産”の経験です。生理痛(腹痛)に耐えている間、私はよく子宮について考えていました。

ギチギチと絶え間なく痛む子宮に対し、疑問を感じられずにはいられません。どうしてこんなにも痛みに苦しむ必要があるのでしょうか? 子宮は毎月懲りもせず赤ちゃん(精子)を迎える準備をしますが、ほとんどは赤ちゃんが来ることなく終わりを迎えます。その際に出血と腹痛が起こり、私はこんなにも苦しい思いをしているのです。

そもそも、子宮は本来子どもを宿し十月十日育てた後、この世界に生み出すという役目を持つはずです。女性として、そういう子宮の使い方をして死にたい。生命を生み育てるために使いたい。私が出産を望むのには、そういう理由も含まれていました。

妊娠すると、生理は止まります。その間、生理がないというのは本当にラクなものだと感じました。あのナプキンの不快感や生理痛、コントロールできない感情に振り回されることはありません(もちろん妊娠中にもつわりなどトラブルはありますが、生理とはまた別の話です)。

生理を引き起こすホルモンの仕組みがあるからこそ、妊娠して子供が産まれます。当たり前ですが、“出産”を経験することで初めて、“生理”を含めた身体の仕組みに感謝する気持ちが湧きました。子供に会えたのも、正しくホルモンが働いてくれたおかげだな、ありがたいな、と実感したのです。

私の娘も思春期には初潮を経験するでしょう。彼女には生理に対してネガティブになりすぎないよう、うまく付き合っていってほしいと思います。ナプキンだけでなくタンポンを使うことや、痛み止め、ピルなどで自分をラクにする方法を教えてあげたいと思います。教師から知識としてしか与えられなかったそれらを、私は大人になるまで使う勇気が出なかったから。もっと早く使っておけば、と後悔したから。

生理は恥ずかしいことではなく、生命を誕生させる素晴らしい身体の仕組みだから、ほんの少しでもポジティブに考えてほしい。自分の経験と生理と付き合っていく知恵を、娘には教えてあげたいです。