わたしは生理痛がとても酷い。
ピルを飲めば生理痛を和らげられることは知っているが、わたしはパニック障害を10年以上患っており、心療内科で処方されている薬との飲み合わせが悪いためピルを飲むことができない。

痛みやつらさは可視化も定量化もできない。
もし「痛み」や「つらさ」という主観的な感覚が可視化、定量化できるようになるとしたら一体どうなるのだろう。

自分が抱えていた痛みがとてもつらいのに、そのつらさを数値化すると5で、そんなにつらくないと言っている人の数値が6だったら納得できるだろうか。
「じゃあこれくらいのことには耐えて、頑張るしかないのか」
そう思い我慢した場合の心への負担は、とても重くつらくなる一方だろう。

ゾッとした。数値が高くないならそんなにつらくないと思われる。
自分より数値の高い人に、そのくらいじゃつらくないのに何を言ってんだと思われる。

わたしのほうが、つらい。つらさを比較してはいけないと強く思った

中学生の頃、同じアイドルが好きで意気投合してネットで繋がった子につらさを比較されたことがある。
「今、彼氏とうまくいってないし、そのことを相談できる友達のいないわたしのほうが、ゆきえってぃより絶対につらい」と言われた。

その時はイラッとしたし、納得できなかったが、「そうだよね」と言って受け流した。
当時は受け流したけれど、今でもしっかりと心に刻まれている。その出来事があってからつらさを比較しては絶対にいけないと強く思った。

他人には痛みが分からない。だから生理休暇を取りづらい。生理痛がどんなに酷くても出勤してきた。ピルを飲むことができれば……と何度も思った。

わたしがパニック障害だと知らない人には「ピルを飲めば生理痛が楽になるの知らないの?」と言われたこともあった。「そんなこと分かってるよ!だけどパニック障害の薬の服用をやめるわけにはいかないからピルを飲めないんだよ!!」とは言えず、「そうなんだ。知らなかった」と言うしかなかった。

パニック障害を打ち明ける理由。「知っておいてほしい」ただそれだけ

自分がパニック障害だと他人に打ち明けることにはとても勇気が要る。

なぜなら打ち明けることで相手との関係が悪くなってしまったり、誤解や偏見を多く受けたりしてきたからだ。

完璧な理解を求めているわけでも、救いを求めているわけでもない。理由はひとつ「知っておいてほしい」ただそれだけ。
ただそれだけのことにとても勇気が要る。

近頃、アイドルやタレントがパニック障害だと公表し活動休止をすることが増えた。それは、わたしにとってはとてもありがたいことだった。

有名人が病名を打ち明けることにより、その病気が認知され、活動を休止しなければならないほどの病気であることが世の中に知れ渡る。自分のような一般人は、同じ病気を患っていることを他人に打ち明けやすいのはそのタイミングなのだから。

いろんな痛み、人それぞれのつらさがある。病気だって個性だ

心の病気は患った人にしか分からない。
わたしには好きな女性のアイドルがいるのだが、彼女には自分と同じ病気になって欲しくない。活動休止をしてほしくないという気持ちももちろんあるのだが、それ以前にこんなにつらい痛みや苦しみを抱えてほしくないからである。

彼女も女性だから生理の痛みを抱えているはずなのに、ライブで素晴らしいパフォーマンスを披露してくれる。眩しい笑顔だってみせてくれる。
これからもそんな彼女をみて元気をもらいたいし、応援し続けたい。自分の周りの身近な人にだって、必要以上の痛みやつらさで苦しんで欲しくない。

いろんな痛みがあり、人それぞれのつらさがある。
だからこそ人の気持ちに寄り添うことができるし、優しくなれるのではないのだろうか。
そしてその痛みやつらさと共存していくしかないのなら、どんどん場数を踏んでいけばいい。

病気だって個性だと考えればいい。
わたしはこれからもそうやって、痛みやつらさと闘いながら生きていく。