一度も彼氏ができたことのない私。友人には彼氏ができたらしくて…

母のお腹から「おぎゃー」と出て来て早20年。もう少しで21になろうかというのに、私は今まで恋人というものがいたことがない。 先日まで「恋人いたことない~」と、薄いハイボール片手にくだを巻いていた友人もいつの間にか彼氏ができている。

もちろん類友なのかなんなのか、周りには私と同じように恋人がいない友人もいるにはいる。いや、むしろ仲のいい友人は、そっちの方が圧倒的多数派だ。
しかし、一緒にぬるくなったビールを飲み、かすかすの枝豆を摘まんでいた友人が一歩を踏み出したということは、意外にも私にとって大きなニュースとなった。

彼女と別れ、ふわふわした気持ちのまま家に帰り、床に倒れ込む。冷たいフローリングが火照った頬に気持ちいい。身体は重たく、お風呂に入るのすらおっくうだ。湿った髪が肌に張り付く。早く風呂に入らねばと思うも、身体が動かない。

それでも私は指先を動かし、手のひらサイズのディスプレイに指を走らせる。
汚れを落とすことよりも何よりも、今の私の頭を占めていること。

約2千万以上の検索結果。同世代の皆は同じ様に気にしているのだろう

『20歳 恋人 いない』
しばしのラグの後、画面が白く切り替わる。
検索結果 約 21,200,000 件 (0.41 秒) 。
いち、じゅう、ひゃく……にせんひゃくにじゅうまんけん。
膨大な数だ。それだけ、皆気にしているということか。

沢山の結果の中で一番上に来ていたものをとりあえず選択する。
ざっと流し見したら次へ。タップ、スクロール、戻る。タップ、スクロール、戻る。10セットほどして、どれも内容は大差ないことに気付く。

「20年生きてきて、恋人はいないのは人格に問題があるんじゃないか」というものから、「恋よりも優先することがあるんじゃないか」という意見まで。

そして、20歳の段階で恋人がいたことない人は結構いるらしい。大学構内をあるけば、あちらこちらに手を繋いだカップル、一緒に勉強しているカップル、見つめ合っているカップル……とうじゃうじゃいて、その上仲のいい友人までときたものだから、自らはどこかおかしいのではなのかもしれないなどと思ったが、少数派ではあれどそうではないらしい。

恋人ができなかった訳じゃない。今までの私には必要ないものだった

確かに今まで恋人がいたことがないという友人は性格に難はないし、むしろ素晴らしい人だ。彼女たちの話を聞いていると趣味に、学業に、やりたいことが多く、充実した日々を過ごしているようで、恋人を作る時間もなさそうだ。
いくつかのサイトを回り、周りを見てみると、私のことを多少客観視できた気がする。
私は恋人ができなかったんじゃない。今までの私には必要ないものだったんだ。

多少開き直りのような気もしなくもないが、実際問題、趣味にバイトに勉強に、他人に割く時間は私にはない。そして恋人に求めるものが特にない。友人に恵まれているせいか、恋人の必要性も感じない。

いつかは恋人という関係性になる人がいたらいいなとは思うが、今ではない。自分のことに手一杯の人間には早すぎる。 
恋人いないイコールやばい、とか難がある、のような見方をした自分を恥じると同時に、そのような考えがなくなればいいと、風呂を溜める音を聞きながら思った。