私、恋ができないんです。
(25歳/OL/独身)

「恋愛する」が目標だった私、いつのまにか人を好きにならない大人に

私が恋に関するコメントを出すとしたらこんな感じだろう。
恋人はいるけど、自分から付き合ってくださいと言ったことはないし、ここ2～3年は好きという感情も消えた。
思えば大学生の頃は、好きな人はいる（恋はしている）けど、恋愛に発展できないのが悩みだった。

恋愛ができないのを自分の自信のなさ、例えば容姿のせいにもしたし、中高女子校出身だから、男子に対するコミュ力が低いんだと思っていた。
私の大学での目標はいつのまにか「恋愛をする」になっていた。
恋愛がしたい一心で、大規模サークルの中心メンバーになり、性別関係なく色んな人と関われるようになった。

自分の容姿に自信が持てるよう、ダイエットをして、メイクやファッションを覚えた。
男の子の友達も驚くほどたくさんできた。
けれど、好きな人ができてもその気持ちを誰かに打ち明けることはなかったし、少しの言動からバレないように細心の注意すら払っていた。
恋バナではもっぱら聞き役。私の気持ちを周りがどう思うかが怖かったから。

私はこの春、社会人3年目を迎えた。
好きと言えなかった私は、いつのまにか人を好きにならない大人になっていた。
友人との恋バナは未だに聞き役でつまらない。
小3の頃、恥じらいながら「コウ君が好きなの」と言った恋バナはあんなに楽しかったのに。

「好きな人いるの？生意気～！」。ふと頭をよぎったのは母の言葉

SNSを見ると同級生が婚約や入籍をしている。
この子たちは25年間の人生で、恋をして、この人と生きていきたいと思えたのだ。
羨ましい。

恋愛をするための努力が実らなかった大学時代を思ったとき、私は疑問に思った。
恋愛ができない原因ってほんとにコミュ力や、自分の容姿に対する自信のなさだったのだろうか。
あんなに頑張ったのに、結局恋バナすらできなかったじゃない。

周りの反応が怖いと思ってたけど、周りって誰のこと？好きな人？友達？
私は人の気持ちを馬鹿にするような人は嫌いだし、友達は絶対に人の恋心や彼氏を笑ったりしない。
そうわかっていても、私の恋は誰にも言えなかった。

その時ふと頭をよぎったのは、母の言葉だった。
「好きな人いるの？生意気～！」
何かがきっかけで私が恋をしていると知ったのだろう。
母だって、多くの人に恋をしたと言っていたのに。

一緒にいると幸せだなと感じる恋人のことを「好き」とは思えない

今、私には恋人がいる。
とても優しくて、笑いのツボが一緒で、一緒にいると幸せだなと感じる。
何より、私が恥ずかしくなるくらいに私に好きを伝えてくれる。
贅沢と言われるかもしれない。
それでも好きとは思えない。
そして考えてしまう。

お母さん。
この人と私、釣り合ってる？
この人と付き合ってる私のこと、どう思う？

そんなこと考える必要はないのに。
私は25歳になっても、幼い頃の母のたった一言に囚われ続けている。
彼と友達を会わせることはないし、どんな人？と聞かれても、優しい人、で話を終わらせる。
家族には恋人の存在を徹底的に隠している。
こんなの、始めたくても恋なんて始められないじゃん。

いつか母の言葉の呪いから逃れて、彼に本心で「好き」と言いたい

彼のことを好きになりたい。
好きになれたらどれだけ幸せだろう。
でも、そんな日くるんだろうか。
ましてや彼のことを友人や母に紹介したいと思える日はくるのだろうか。

今、私は人との関わることが大好きだし、
無理のない範囲で体型も維持し、自分に似合うメイクやファッションも覚えた。
必死に得たコミュ力やその他諸々で就活をクリアし、好きな仕事についている。

学生の頃コンプレックスの塊だった私は、今自分のことが大好きだ。
それでも母の言葉の呪いからは逃れられない。
けれどいつか彼に、本心から「あなたのことが好き」と言いたい。
「あなたが好き」、そう言えた時に初めて私は幸せな恋を始められるのかもしれない。