私は、メイクとファッションで「武装」する――。

その日の状況や会う人に合わせて、メイクとファッションを武装する

たとえば、ちょっと気になる人と会うとき。
「今日は『かわいい』で殴りに行くぞ!」という勢いで、メイクを施す。洋服も全力で「かわいい」と思わせてやるつもりで選ぶ。今日の服の色なら、カラコンはピンクブラウンかな……。それなら、アイシャドウもアイブロウも赤系にしよう!
そんなふうにして、時間をかけてメイクする。

ファッションには疎い人だから、もしかしたらそんな気合が入った格好の私と歩くことに気後れするかもしれない。
でも、かわいくあろうとする女の子の努力には純粋に感動してくれる人だから、「かわいいなぁ」くらいは思ってくれるかもしれない。

決して男ウケするメイクでもファッションでもないし、奥手だから「かわいい」とか「似合ってる」とかそんなことを言ってくれることはないけれど、それでも私は「武装」する。
「かわいい」で殴りに行って、いつか「かわいい」と言わせてやるぞ!という心持ちで。

たとえば、学生アルバイトと会うとき。
仕事柄、学生アルバイトと接する機会が多い。私は日々、彼らに「学生のとき、この人と一緒に仕事できてよかった」と思ってもらえる社会人でありたい、と思っている。だから彼らと会うときは、丁寧にメイクをして、彼らがちゃんとリスペクトできる「キレイでおしゃれで仕事ができるお姉さん」を作り上げる。

そんな私の気合には誰も気づかないかもしれない。それでもいい。
何年後かに「Kさんと働けてよかったな」と思い出してもらえたときに、ちゃんとしていた私でいたいと思う。

きちんと化粧をすると、ONのスイッチが入ったようで背筋が伸びる

まつげがキレイに上がった日は気分が良い。
まつげが下がりやすい毛質だから、うまくいかないときは、時間が経つとマスカラが下まぶたに滲んでしまう。だから、まずはビューラーでキレイにまつげを上げて、重くないけどカールキープ力の強いマスカラ下地で整える。そうすると、もうその日のメイクはやり切ったぞ!という気分になる。それが1日キープされたなら、最高に気持ちがいい。

化粧はマナーだとか言われ、化粧しないと外に出れない女は不便だなと思うことも多い。
だけど、きちんと化粧をすると、ONのスイッチが入ったようで背筋が伸びる。テキトーなメイクのときにはない、気合が入る。
特段自分の顔が好きなわけではないけれど、丁寧にメイクを施して、かわいい化粧品たちがキレイに自分の顔にのっている姿を見るのは好きだ。

鏡を見て「今日のアイメイクかわいい!」と思えたら、その日はもう無敵。あとは同じくかわいい一軍の服を着て、ルンルンで出かけるのである。

メイクはその日の調子に左右される。
ちょっと体調が悪いとき。そんなときは、逆に気合を入れてメイクしない。ブラウンのアイシャドウを使って、ナチュラルメイクに仕上げる。調子が悪いときは調子が悪い人を見た目から演出する。
そうすると、「今日は気を抜いてもいいんだよ」と言われている気がして、ちょっと気が楽になる。

気合を入れたい時はこだわって、調子が悪い時は手を抜いたっていい

こんなふうに気分でメイクを楽しむようになったのは、最近だ。ここ1年くらいのことだと思う。
きっかけはピンクオレンジ系のアイシャドウを買ったこと。それを自分のまぶたにのせたとき、これが美容系YouTuberが動画でよく言う「アイシャドウがかわいい!」ってやつか、と思った。

それでキレイに赤がのったまぶたを鏡で見ていたら、グレーのカラコンを入れたくなった。そこで26歳にしてカラコンデビューをした。
ずっと黒目が小さいことがコンプレックスだったが、着色直径が小さく目の色だけが変わるカラコンをしてみたら、イメージ通り赤とよく合った。

そこから、普段使いのカラコンもいろいろ試すようになった。同時にアイシャドウなどの色物の化粧品もいろいろと試した。

一度、自分の顔に化粧品をのせたときにその化粧品がのっている姿が「かわいい!」という感覚を覚えると、どんどんハマっていった。転職して、同僚がメイクを変えると目ざとく気づいて褒めてくれることも相乗効果になった。

私にとってメイクは、自分の気分を反映するもの。
気合を入れるときはとことんこだわって、「武装」に使う。調子が悪いときは、手抜きをして調子が悪いことを味わう。
それが私とメイクの付き合い方だ。