1人で過ごす食堂。早めに食券を買っておいて、課題をこなす

私は大学時代、学生食堂を利用することが多かった。
日替わり定食や丼もの、麺類が充実している中、目を付けたのは「チーズカレー」。元々、カレーが大好物の私にとって、この6文字は読むだけでヨダレが出そうになった。
そしてトッピング制度があるのも嬉しかった。
ご飯大盛り、麺プラス、チーズ、温玉……。チーズがある。却下されるのを前提で素知らぬ顔をしながら、「チーズ」と「チーズカレー」の食券を出す。

「チーズカレーにチーズ?あら、まぁ」と二度見する食堂の職員さん。いつの間にか「ダブルチーズの子来たわよ」と言われるようになって「今日はダブルチーズじゃないの?」と聞かれることもあった。
ランチの時間帯にしか出されないミニサラダは、トッピングを切らしているからと代わりに出してもらうこともあって、特権が増えるのは楽しくて仕方なかった。病気なのかもしれないと疑う。

やがてチーズカレーは曜日ごとの交代制になった。
それでも食堂に立ち寄る。サークルの人たちと一緒に食べることもあったけれど、食堂で1人になるのは抵抗がなかった。難しい授業のレポートに追われている時は空きコマに来るようになるし、課題が行き詰まっていたりする時も利用する。
午前中の授業が休講で早いうちから食堂にいると、券売機が開くと同時に買うことが出来る。先に買っておいて課題を進めていると、時間を忘れて周りの人混みでお昼ご飯の時間だと知らされる。

「食べる量が野球部だね」と言われても動じない

どのテーブルを見ても、何人かグループを作って食べている人達が圧倒的に多い。女の子たちは麺類でたまにチャーシュー増しの人がいるが、なかなか定食を頼む女の子はいない。
それを横目に私は友達から「食べる量が野球部だね」と言われたり、「さっき頼んで食べ始めたところのはずだけど、食べ終わるの早いね」等と驚かれても、お腹が空いていたら人間は自然と箸が進むからと内心落ち着いているから言い訳はしない。

食べることが何よりも幸せ。本人は至って動じないのだが、周りからは珍しい生き物らしく、宇宙人にでも見えているのだろうか。混んでいて席がないと相席を申し込む女の子たち。話した事ないからだろう。顔が強ばっていた。

食べ終えたら、別のキャンパスへ移動していく。お昼のピークを過ぎてもグループワークでの話し合いやサークルでの合宿に関する打ち合わせをしていたり、賑やかさは案外変わらないのだと思った。
私服で学年が見分けつかないけれど、先輩っぽく見える人に限って後輩なことが今までに多かったと感じる大学3年目の春頃は久しぶりに楽しかった。

肉とチーズカレーは私の心友。すごい飯は私の宝物

これは飽きたわけじゃないので浮気にはカウントして欲しくない。同じ時期にキッチンカーで毎週金曜日に「ローストビーフ丼」が出現した。
1度食べたらクセになる歯ごたえ。ソースは5種類あって、辛いと知らずにサルサソースを注文したこともある。
ここでもやっぱりトッピング制度を最大限に活用。ソース選びと全部のせは病みつきの始まり。どのソースをかけても美味しいけれど、特に私は「わさび醤油ソース」が1番好きで注文する学生だった。

曜日ごとにキッチンカーはメニューが異なる。火曜日はクレープ、水曜日はオムライス、木曜日はガパオライスと小籠包。小籠包はオヤツに買う人が多く、私もそのうちの1人だった。
金曜日はよくメニューが変わって、ローストビーフ丼の存在が明らかになるのは私が通い始めて1ヶ月後くらいだったと思う。午前中の授業が早めに終わって、開店前からキッチンカーの見張りをしている。11時に並んで11時30分には食べ終わっていた。
あまりにも通い詰めてキッチンカーのお兄さんに「いつも来てくれてありがとう」と顔を覚えてもらうことが出来た。お店に通っているとよくあることかもしれないが、純粋に覚えて貰えたことが嬉しかった。久しくそういったことがないと嬉しさと驚きが同時にくるらしい。こんなに嬉しいと知らなかった。

肉とチーズカレーは私の心友。すごい飯は私の宝物。「味覚」と書いて「すごい飯」と読ませる熟語を載せた辞書を創りたくなったのは、ここだけの秘密にしておこう。