中国で肺炎が流行りだした頃、私の彼は出張で中国にいた。友達からのLINEで、「彼、中国でしょ?肺炎気をつけてね!」と連絡があり、何を? と思ったのもつかの間、世間はコロナで大騒ぎとなった。
私はといえば、2年半遠距離恋愛をしている彼との結婚を考え、仕事を辞め、住居も彼が住んでる県へ引っ越そうと考えていた。
彼のご両親への挨拶の話を切り出した途端、気まずい雰囲気を出した彼
2020年11月。彼にいつ帰ってくるのかと、そろそろ実家への挨拶の話を切り出した時の事だった。
いつものように会話をし、コロナ気をつけてね、なんて話をしながら挨拶の話を切り出した。途端に彼は、気まずい雰囲気を出す。
まさかの別れ話が始まるのであろうか。いや、でも既に1年以上前に、結婚の意思がないなら別れて欲しいと話した中で、彼は「ちゃんとする」と私に言ったのだ。まさか別れ話はないだろう。じゃあなんでこんなに気まずい雰囲気が出ているんだか、私は不思議であった。
すると彼は言いづらそうにこう言った。「実は結婚してて、○○(私)とは結婚出来ない……」。
時間が止まるとは、この事なのか。頭が真っ白になるとは、こういう事なのか。今になればこの時がそういう状況だったのだろう。信じられないし、訳(わけ)が分からない私は笑い混じりに「誰が?何の話?何言ってるの?」。理解したくない、信じられない現実に、疑問しか口から出てこなかった。
結局彼が言ってることは事実で、離婚して私と一緒になるつもりだったけど、相手が籍を外してくれなくて今の今に至ると。あの時の「ちゃんとする」の一言は、この離婚騒動をちゃんとするの意味だったのか……なんて今更どうでもいい事実。
2年半付き合っていた彼は「既婚者」。私は、人を信じられなくなった
私は彼が既婚者だなんて知らなかった。ずっと嘘をつかれていた。騙されていた。
「私今、貴方の奥さんからしたら不倫相手なんだけど、どうしてくれんの!?」と、私が色々怒った挙句にこの一言を言った時の彼は、「いや、相手とは連絡取ってないし、不倫相手とかじゃないから」なんておバカな事を言っていたので、もうダメだと思った。お前がどう思おうが、事実上私不倫相手ですけど……。
この時私が思ってたのは、「この2年半めちゃめちゃ無駄じゃん」しか頭になかった。時間を返せと怒鳴った。怒鳴ってもどうにもならないのに……。
私は、人を信じられなくなった。この時、私は27歳。
結婚願望があった私は、新しい恋人を作ろうと街コン合コン婚活アプリ色々試した。コロナで外出を控えてくださいという時期でも、街コンなんかはやってる所はやっている。友達誘って何回も行ったし、今はお一人様用の街コンも結構あるんだなぁと感心しながらも、何も収穫はなかった。
婚活予定を詰め込みすぎて、精神的に疲れた私は新しく恋をするのをやめた。婚活をやめた頃、不眠症に悩まされる。仕事もしてないし、生活が不規則になった事も原因だが、精神的に参っていた。
精神的に参っていた時にみつけた「声で繋がるアプリ」を始めてみたら
そんな時にみつけたのが、声で繋がるアプリ。一般人がラジオ配信をしたり、弾き語りしたり、雑談をしたり。使い方は人それぞれ。自分が好きな声の人を見つけ、リスナーはチャットで配信者と繋がれるアプリだった。
私はそこで1人の男性と出会う。最初は音声アプリで、その人の配信に遊びに行って話すだけだったが、ある日会って遊ぼうという話になった。オフ会とでもいうのだろうか。
この時、東京は第1回緊急事態宣言が出ていた。東京から離れていた私達は実際に会った。彼と声だけではなく、実際に会ってみてより親しくなった。
そこから付き合うことになり、暫くは遠距離恋愛。コロナもあり、月に1回会えるか会えないかだったが、毎日電話で連絡をしていたので寂しくなかった。程なくして、私は彼と結婚前提に同棲を始め、1年して結婚する事になる。
コロナで外出が出来ない分、家でいかに快適に過ごすかは必須だった。またコロナという観点でいうと、お互いがお互いを思い合い、話し合う時間が多かったように感じる。自粛があったからこそ音声アプリをとり、家にいる時間が多かったからこそ、アプリで繋がった彼がいる。
私にとってのコロナ禍の恋愛は、棚から牡丹餅である。