コロナ禍で出会った人もいれば、別れた人もいる。私は幸運なことに前者だった。

5年ほど再開と退会を繰り返した「マッチングアプリ」で出会った彼

緊急事態宣言が発令されている中で、私たちは緩やかにLINEのやり取りを続けていた。お互いに自宅待機が多かったにも関わらず、多い時でも1日2~3通のやりとり、少ない時は0。それは、付き合った今でも変わらない。

私がせっつかれるのが苦手なこともあって、絶対に連絡を催促しないと決めている。先日、彼と飲んだ時に、それがとてもありがたいんだ、と教えてくれた。

そんな彼は、連絡ができないことは仕方のないことだと開き直るのではなく、事前に仕事が忙しくなりそうな時は教えてくれ、連絡頻度が少ないことを謝ってくれる。「ごめんね」という言葉に、何度も救われた。

マッチングアプリは、5年ほど再開と退会を繰り返した。彼氏は欲しいくせに、似たようなメッセージのやり取りにうんざりしていた。

のちに彼氏となるその男は、イエス、ノーで答えられる質問だけでなく、そこから話題を広げてくれる人だった。例えば、カレーは好きか、好きならどんな具を入れるのが好きか、といった具合に。

私の遠回りすぎる人生についても深く聞かれることはなく、それどころか「楽しそうですね」と言ってくれた。そこでようやく、私は彼のプロフィールを見た。2つも年下だった。

初デートで感じた、久しぶりに誰かと一緒にいて心から楽しい気持ち

緩やかすぎるやり取りを続けていると、緊急事態宣言が解除されて、会ってみませんかと提案された。彼は、コロナで私が気にする部分を聞き、行き先を決めてくれた。大抵、初回はご飯だけという場合が多いけれど、彼が提案した場所は「水族館」だった。ますます面白い人だなと思った。

当日、待ち合わせの駅に現れたのは、私より少しだけ背の高い、よく笑って話す、想像通りの男性だった。彼は食事の時以外マスクを外さなかったし、肌の接触も一切なかった。

今でも鮮明に覚えているエピソードがある。「私、そんなに手が大きくなくて」と私が言った時の話。自分でもその話をして、しまったと思った。この後は絶対に、お互いの手を合わせて大きさを測るという展開だ。それを自分から誘導してしまうとは。身構えた私の横で、彼は「お~ほんとだ」と手を広げた。ただ、それだけだった。

イートインで食器を下げる時に「ごちそうさまでした」と洗い場の人に声をかけ、車内が暑いからと先にクーラーで冷やしてから中に入れてくれた。

「話すのが得意じゃなくて」と予防線を張った私に、彼は絶えず話題を提供してくれ、私が理解するまで付き合ってくれた。久しぶりに、誰かと一緒にいて心から楽しいと感じた。

長い間、文字だけのやり取りを続けていたのに、そこから先に進むのは早かった。都心部を避けて飲みに行き、その少し後にドライブに行き、彼は告白してくれた。

「私で良かったら」と控えめに返事をすると、「どっきりじゃないですよね」となぜか向こうが私の返事に驚いていた。初めて手を繋いだのも、キスをしたのも、彼の誕生日と血液型、家族構成を知ったのも、お互いの敬語が外れたのも、さらにここから後のことだ。

私が何度も不安になって疑う度に、彼は「真剣」に向き合ってくれた

この夏が終わったら、彼と付き合って1年が経つ。その間に、私は彼が想像していた以上に素敵な人だったことを知った。彼は、私が思っていたより愛情深いことを知ったらしい。

「なんでも話してほしい」と言っていた通り、彼はすれ違う度に向き合って話をしてくれた。マッチングアプリで知り合ったこともあり、私は何度も不安になって疑ったが、それでも彼はいつでも真剣に向き合ってくれた。

話し合いの最後は、必ず「嫌なことをしてごめんね」「話を聞いてくれてありがとう」で終わる。私たちの関係は順調に深まっていた。

日本の新型コロナウイルス感染は未だに収まる気配がない。ワクチンは打てていないし、仕事もコロナなど関係なく忙しい。最低限の感染予防をして、私たちは今日も世界の片隅でひっそりと愛を育んでいる。