私は、幼稚園から大学まで女子校で過ごした、生粋の女子校育ちだ。
そう言うと、初対面の人には男女を問わず、大抵こう言われる。
「お嬢様なんだね」
「男性と話せるの?怖くないの?」

外向きには「お嬢様」。でも学校内の実情は…

私は、いわゆる「お嬢様学校」出身だ。
学校名を告げると、10人中9人は知っている。
そして、「やっぱりお嬢様だね」と満足気に言われる。
しかし、数ヶ月後頃にこの「お嬢様」イメージがガラガラと音を立てて崩れることを、この人たちは知らない。

確かに、外向きは「お嬢様」だ。
恥ずかしげもなく"ごきげんよう"と挨拶できるし、両親を「お父様、お母様」呼びするのは当たり前だ。
全員とは言わないが裕福な家庭の子女が多い。特に幼少期はピアノやバレエ、書道、英会話といったお稽古ごとを掛け持ちしている子が多かった。
受験がない、内部進学のエスカレーター式ということも影響していたのかも知れない。

ところが、内向きの顔はどうだろう。
女子校なので更衣室など存在しないから、体育の授業前後などは教室で着替えるが、教室のカーテンやドアは全開。
可愛いブラジャーの品評会が始まるし、夏などは団扇代わりにスカートをバッサバッサと煽るからパンツも全開だ。
巨乳の学生が圧倒的に人気で、その大きさにあやかるべく皆でおっぱいに群がる。
次の授業のためにやってきた男性教員が慌てて顔を背ける羽目になり、そんな男性教員を見つけて「この変態ー!」と野次を飛ばす。

そして、授業中の態度もなめたもの。
授業を聞かないのは当たり前。女性教員には旦那様や彼氏の話といった恋バナをせがみ、完全に友達感覚だ。
そして椅子に座るときは大股開きだから、これまた男性教員が困り果てる。下手に注意をしようものならまた「変態」呼ばわりだし、簡単にセクハラ扱いされるだろう。
今思い返すと、男性教員に対して本当に申し訳なく、可哀想なことをした。勝手ながら全女子校出身者を代表し、女子校勤務の男性教員たちにお詫び申し上げる所存だ。

ごめんね!

お嬢様だけど、たくましい。それが女子校出身者だ

何しろ女子しかいないから、力仕事や汚れ仕事も全て自分たちでしなければならない。
教室の蛍光灯交換や参考書の山などの荷物運び、トイレ掃除、スカートが捲れ上がろうがなりふり構わず自分たちでこなした。

男子の目がないのをいいことに(男性教員のことはもはや男性として認識していない)、眉なしすっぴんで通学することも厭わない。汗まみれになったときのメイク直しも要らないから都合がいいし、必要なときに必要なメイクをすればいいだけ、と割り切っている。

そんな訳で、いざ「共学社会」に出たとき、女子校出身者が意外とたくましいことに驚かれる。
男性には頼らない、媚びを売らない。頼るどころか顎で使い、いじり倒す。
可愛げはないが、底力は確実にある。

お嬢様だけど、たくましい。
それが女子校出身者であり、本当の「女子力」だ。
自分磨きを怠らない、お料理上手で家庭的。これらだけでは「女子力」には到底事足りないことを、世間の人達は知らないのだ。

男性ウケが悪かろうとモテなかろうと、強く、健気な女子校出身者

巷で話題の「モテテク」、誰もが一度は目にしたことがあるだろう。
"甘え上手がモテる"
"時には頼ろう、助けを求めよう"
"かわいくお願いされると男子は燃える"

悲しいかな、これら「モテテク」が苦手な女子校出身者が多い。
他者に頼ることなく、自分の道は自分で切り拓いてきた、女子校出身者。
男性ウケが悪かろうとモテなかろうと、女子校出身者は強く、健気で、そんな姿がとても可愛らしい。

私は、女子校出身であることを誇りに思う。
女子校、バンザイ!!