私は中高6年間、地元の女子校に通い、6年間彼氏がいたことは一度もなかった。女子校でも一部の女子は隣の男子校と交流があったが、私には縁のない話。
「大学に入ったらきっと素敵な彼氏ができる!」
ずっとそう思っていた。そして大学を機に東京へ。

女子校出身の私は大学に入学して、性のカルチャーショックを受けた

しばらくすると数人の女友達ができた。女子が集まれば「彼氏いるの?」とすぐに恋愛の話。一人は遠距離、一人は交際2年、一人は大学の先輩、そして私は……。当然のように「彼氏は?」と聞かれると、私に彼氏がいないこと、ましてや今まで彼氏ができたことのないことが悪いことのような気もしてくる。

「いない…、てかいたことない」と答えれば「えええ~じゃあエッチの経験もないの?」とこれまた辱めを受ける。
相手は悪気があって言っているわけではない、むしろ清いものとして扱っているつもりなのだろう、しかしどこか見下されているよに感じるのは私がひねくれているからだろうか。

地元にいるときは女子校だったので、一部の女子を除いて、ほとんどは彼氏などいたことないし、彼氏がいることのほうが驚きが大きかった。
しかし大学に入ってみるとその逆、彼氏がいないほうが珍しいのだ。
しかも、大学で私が仲良くなった女子のほとんどが経験済み。私は大きく性のカルチャーショックを受けた。

未経験であることに感じた焦りと恥ずかしさ。焦った私がした行動は…

大学に入学してしばらくすると、自分が未経験であることに恥ずかしさと焦りを覚え始める。大学ではタイプの男子に声をかけまくった。今考えれば、逆ナン。
しかし、男子との距離の縮め方が分からない当時の私は、女子と仲良くなるように積極的に声をかけるしかほかなかった。
もちろん逆効果、男子からは引かれ、あまりにもいろんな子に声をかけていた私は裏で「男好き」「ビッチ」とまで言われるようになってしまった。
自分が女子校出身だからか、異性との距離の縮め方が分からず、当時は本当に苦労した。

きっとそれは、私だけではなく、同じ苦労をした女子校出身者は多いはず。たまに地元の友達と連絡を取ると同じことを言っていたし、自分だけがそう思われているのではないとわかると気は楽になった。

男子にビッチ呼ばわりされてから、大学で彼氏を作るのは諦めた。そこで私はターゲットを社会人に決めた。

恋愛は段階を踏んで楽しむもの。背伸びしても埋まらないものがある

女子大生にとって社会人の男性とお付き合いすることはステータスの一つ。社会人の彼氏がいるというだけでどこか勝ち組にもなれる。そう決めてから私は、大人の男性が通うバーや、パーティーに積極的に足を運んだ。

大学の外に目を向けてみると、たくさんの男性が私を待っていた。しかもただの男性ではなく、時に一流企業の会社員、時に投資家、時に会社の社長。そんな自分の交友関係に大学の女友達は自分に対する態度を変えていった。

仲良くなった当初は「彼氏いたことないの?」と経験のない自分を下にみていたと思われる女子に「すご~い!私もそんな大人とお付き合いしてみたい」と言われるのがうれしかった。どこか勝ち誇った気持ちにもなれた。

だけど、同世代の男子とお付き合いしたことのない私は、一緒に大学で授業を受けたり、ペアルックでディズニーランドへ行ったり、格安のファミレスに行ったりしたことがない。

大人の男性はそんな子供じみことはしない。そんな子供じみたことが私には永遠に叶うことのない憧れになってしまった。
恋愛経験がないことに焦り、大人の男性とお付き合いし、周りの女子にマウントが取れても、そういった青春は私には無縁のものになった。

やはり恋愛は段階をふんで楽しむものだと思う。
女子校出身ということで恋愛に後れを取り、焦って背伸びをしても心のどこかには確かに埋まらないものがある。