夢の実現に向けて、部活も勉強に精一杯打ち込んだ
小学六年生の時、卒業文集に「航空管制官になる」と書きました。
あるドラマをみて、その責任感の強い仕事のカッコよさに憧れて、中学の時には航空保安大学校の見学にも連れて行ってもらいました。
当時の私は、英語は得意でしたが、理系科目は大の苦手。頭の良さと空間把握能力が求められるその仕事は、私には無理だと周りから言われてきました。
そして、高校生になり今後の進路を決めるとき。
確かに私には航空管制官という仕事に就くまでの壁は、遥かに高すぎるものでした。
そこで私は自衛官になって、航空自衛隊の管制官になろうと決めました。そして防衛大学校への進学を目指して、受験勉強に励みました。
私の高校は、高専一貫校で、周りはすでに進路を決め、部活動に励んでいる状況。引退している友達は、毎日のように遊び、授業もテストさえ良ければいい。
クラス全体がその雰囲気に包まれていて、「なんであんなに勉強しているの?」そんな不思議な目でよく見られていました。
そんななか、私は吹奏楽部の部長として18時まで活動し、そのあと21時まで塾へ行き、3時まで受験勉強していました。
受験当日、クラスメイトからのサプライズ!そして結果は…
そんな日々を過ごしている内に、学力テストの結果がついてこなかった事、同級生が楽しそうにしている姿、部員同士の意見がまとまらないこと、吹奏楽部が出演するイベントなどが複数重なったりと、自分自身の焦りもあり、周りが見えなくなっていました。
「なんでこんなに頑張らないといけないの?何のために?」
「本当に自衛官になりたいのだろうか」
そんな気持ちばかりが、何をしていてもぐるぐるしていました。
仲良くしていた友達を見る事ですら、イライラしてしまい、自ら距離を置いていました。
そして時が過ぎ、受験前日、横須賀の防衛大学校に前乗りするため、一度学校へ寄って出発しようとしていました。
そしてクラスへ向かうと、サプライズで、黒板に「いってらっしゃい!自分を信じれば大丈夫!」の文字が。そしてみんなが作ってくれた千羽鶴と寄せ書きをくれました。
これまで、いろんなことにイライラして、周りを見ることができなかった私にここまでしてくれたクラスメイトに、これまで抱いたことのない感動と感謝の気持ちに溢れ、自信を持って試験に臨みました。
試験も面接も、満足する出来栄えでしたが、結果はついてきませんでした。
「これからどうしたらいいんだろう。応援してくれた人たちに申し訳ない」
自分がダメだった事に対する悔しさや、悲しさはもちろんありましたが、それ以上に周りの支えてくれていた人たちに対する気持ちの方が勝っていました。
改めて自分は何がしたいのかを考え、新しい世界へ挑戦することに
ここで私は歩みを止めました。
改めて自分は何がしたいのか。どんな大人になりたいのか。何をするときが一番楽しいのか。
そう考えたとき、吹奏楽部としてのイベントで、お客さんが楽しんでいる笑顔や接客のアルバイトをしている時に出会うお客様の「ありがとう」という言葉をもらっている時、私自身も笑顔で、楽しさを感じているなと気づかされました。
そこで英語が使えて、飛行機の近くで、人を笑顔に出来る仕事。
客室乗務員だと。私の中で答えがでました。
自衛官、航空管制官とは全くの畑違いの仕事ではありましたが、新しい世界に飛び込む挑戦心と自分自身の言動で周りを良い雰囲気に巻き込める仕事を目指す事に、時間はかかりましたが、舵を切る事が出来ました。
そして現在。私は客室乗務員として空を飛んでいます。
時折、空港で管制塔や飛行機を見ると、あっち側でもし働いていたらどんな私になっていただろうと考えることもありますが、同じ空の安全に従事している今の仕事に誇りを持っています。
だからこそ、申し訳なさと悲しみの渦中にいた私に、2021年の私は笑っているよ、あの時歩みを止めてくれてありがとう、と伝えたいです。