物心ついた時からずっと、走り続けてきた。
走っていないと、不安だったから。
ふと立ち止まれたのは、去年、社会人三年目のことだった。

「あなたたちは真面目だから」そんな言葉通りの人生を送ってきた

高校時代は進学校に通っていた。
とある先生が授業中に言ったことを、事あるごとに思い出す。
「あなたたちは真面目だから、遊んでいても頭のどこか片隅で勉強しなきゃと思ってしまう」
その言葉通りだった。
高校生の時は大学受験。
大学生の時は部活やレポート、就職活動。
社会人になったら仕事や自己研鑽……。

その甲斐あってか、一般的な「人生のレール」があるとすれば、割と立派なレールに乗れていたと思う。
進学校から、国立大学へ。海外留学もして、まあまあ優秀な成績で大学を卒業した。

大学卒業後は、百年以上の歴史がある業界トップ企業へ(大手が良いのか、とかそういう議論は置いておくとして)。
仕事は楽しみだったから、新社会人向けのビジネス書を読み漁った。
すると「スタートダッシュが大切」という共通項を見つけたので、最初から手を抜かずに自分なりに頑張った。

異動で張りきった社会人2年目。気付けば体調を崩してしまった

迎えた社会人二年目。
「少数精鋭の、できる人たちを集めた部署です。期待しています」と毎月の会議で偉い人が話すような、なんだかすごい人が集まる部署に異動した。

そりゃもう、張り切った。
毎日の読書に、プレゼンの練習、細々としたことも自ら手を挙げて……と。
元来負けず嫌いだし、「今が勝負だ!」と二年目ながらに思い、仕事に集中しようと実家を出て一人暮らしも始めた。
プライベートでも色々なコミュニティに参加し、知り合いを増やし……。

とまあ、こんな具合に、「頑張った!」と胸を張れるぐらい頑張った一年だった。

だけど、やることばかりが増えていき、休む暇もなく、ずっと緊張状態。
ランナーズハイのような状態を数ヶ月過ごして、気づけば体調を崩してしまった。
仕事はお休みすることになった。

その期間、病院に通いつつ、ゆっくり過ごした。
読書は好きなので、元気があるときに少しずつ健康管理について勉強し、「そりゃあ体調も崩すわな……」とようやく納得。
体調は本当に悪くて、大好きなご飯も食べれず、体も重く、毎日辛かった。
人生で初めて、本当の意味で「健康第一」を実感した時間だった。

止まっているからこそ見え景色も幸せも、この世界にはたくさんある

一度体調を崩すと、簡単には元に戻れない。
今は仕事を再開し、心身ともに疲れには気をつけているが、病院には通っているし、たまに体調が悪くなる時もある。

「どれだけ前に進めるか?」
好奇心旺盛だからこそ、これまでは、「生きているうちに色んな世界を見たい!」と思って活動的に過ごしてきたけど、どうしても前に進めなくなって、行動することが全てじゃないと気づいた。

新幹線に乗って新しい町に行くのも刺激があって楽しいけど、自分の町をわんことのんびり散歩する幸せもあるように。
食べ放題で沢山の料理をつまみ食いするのもワクワクするけど、ママが作った豚汁をすすってほっと一息つく瞬間の胸の温かさもあるように。
止まっているからこそ見える景色も、ちいさな幸せもたくさんこの世界にあることがよく分かった。

頑張るのが好きな自分と、もう体調不良は御免だ!という自分。
そのバランスをとりながら、毎日、自分なりに小さな発見を積み重ねながら生きていきたいと思う。

うーん、はじめてのエッセイ、頑張って書いちゃったなあ……。