私は現在19歳、フリーターだ。最近になってようやく「フリーターです」と言えるようになった。

2年前、進路を公務員から大学に急遽変更した。お金に恵まれた家庭ではないことを自覚していたし、大学に行ってまで学びたいことなんてなかった。公務員になって、児童相談所の相談員になりたいと思っていた。

だけど、ある日部活の顧問に大学進学を勧められ、行くことを決意した。大学へは部活をやりにいこうとしていた。そして、大学は難なく合格した。

教育ローンの審査に落ち、大学進学の「可能性」はゼロになった

大学に合格してすぐの10月頃、誕生日前日に父親がバツイチで子持ち、私に腹違いの兄弟がいることを知った。母親に不倫相手がいることは、小学校の頃にLINEを見てしまった事から知っていたが、まさか父親まで裏があったとは。

私の2つ上の兄は、カーセックスで身ごもったらしい。全部母親の日記を読んでわかった。思い返せば、あの頃から運気はダダ下がりだった。

11月頃、母親に「教育ローンに落ちた」と泣きながら報告された。母親はそれに受かると思い、私の大学進学を許したのだった。だからあてがなくなり、行ける可能性が限りなくゼロになった。

それからもう一度、進路を考え直した。今から公務員は遅すぎる。試験はとっくに終わっている。浪人したら部活には出られないから、大学浪人はしたくない。フリーター? そんなの絶対に嫌だ。

逡巡としているうちに、思い出した。中学校の時、演劇に興味があり、高校に進学せず養成所に行こうとしていた。それぐらい本気でなりたいものがあった。

今からやればいいじゃないか。そうすれば、いち早くその職業になれる。名案だ。

演技を極めようと芸能事務所に入った。でも、そのことを言えずにいた

だけど、お金はない。養成所に入るためにも30万は必要だった。アルバイトをしても間に合わない。調べていると「新人オーディション」の文字。養成所ではなく事務所だったけど、無料でレッスンが受けられると知り、応募した。

初めてのオーディションだったけど、なんとか上手く行き、受かることが出来た。ここまではよかった。ここから苦痛の1年の始まりだった。

まず顧問に「大学進学をやめ、新しいことを始める」と言ってみたところ、「お前はそれで食っていけるのか、結婚して子供が出来たら養っていけるのか」と言われ、その時は応援してくれないショックが大きく、そのせいか友達にも言い出せなかった。

クラスメイトのうち2人と部活の同級生にしか事務所に所属したことは伝えず、他の子には大学進学と嘘をついて11月から卒業までを過ごした。自分は嘘つきだから、嘘をつくのは得意だから、と言い聞かせながら大学進学を偽っていた。

だけど半年も続けると、ストレスで耐えきれなかった。1日、2日、3日と学校を休む日が多くなっていった。そして誰にも言えないまま、卒業を迎えてしまった。ここでJKブランド、学生ブランドがなくなり、正真正銘の「フリーター」になった。

4月辺りからコロナウイルスが大流行し、家族が家にいることが増えた。私はなんの影響もなかった。それがまた辛かった。

同級生は大学に行けない、オンライン授業がと、病みストーリーをよくあげていた。そんなストーリーを見て、また病みに病んだのでインスタを消した。

LINEの友達もTwitterも沢山消した。もう人と無駄に関わるのはよそう。他の子の生活を知ったところでいい事なんてひとつもない。これが4月の出来事、そこから10月までは断片的な記憶しかない。

事務所についていけず退所し、養成所からやり直そうと思い養成所を受け、受かったというぐらいしか覚えていない。人間は悪いことを忘れがちと聞くが、そういう事なんだろう。

19歳になった私は、誰かのせいにして逃げて行動しないことをやめた

10月、19歳の誕生日を迎えた。18歳は1年中悪いことしかなかった気がする。19歳は自分から変わる努力をしようと心に決めた。

金のせいにして、なにも行動しないのはもうやめた。親のせいにして、逃げるのもやめた。

初詣では大吉だった。人間関係、引越し、恋愛、全てにおいて大吉だった。良くなる予感しかなかった。そのせいか、なんでも挑戦できた。

19歳、全く知らない土地で一人暮らしを始めた。不安がなかったわけではない。でも、おみくじが大吉だったから。そして、髪を金髪にした。ブリーチ2回は私の頭皮には刺激的だったが、金髪になった自分は輝いて見えた。

頑張るのを止めたあの時期があったから、今どんなことでも頑張れるようになった。あの時期は、この世から消えてなくなりたいとまで思っていた。もう一度あの時期に戻れたら、やり直せたら、何度思ったことだろう。

でも、そう思うのはもうやめた。あの時期があったからこそ、今の自分がいて、周りのみんながいる。頑張るのをやめたからこそ、わかったことが沢山ある。

もうすぐ20歳。もう頑張るのをやめるのをやめた。これからは名前の由来である新幹線のように、突っ走っていきたい。