私は子育てを機に生まれ故郷から離れ、現在の「第二のふるさと」に移住した一児の子を持つ、29歳です。
「ふるさと」と言われ、思い浮かぶのは生まれ故郷や生まれ育った場所や思い出ですが、場所や人、形は違っても「ふるさと」と言える場所。
それが今、私が住む町です。

「よそもの」の私を迎えて大切にしてくれる温かさが、この町の魅力

工場や住宅の多い場所で生まれ育った私は、自然がある場所に行くと「遠出」と言うような、普段山や川、海を近くに感じることがない環境で育ちました。
一方、現在住んでいる町は、5年前に子供と共に子育てを機に移住し、山へは自転車で10分、川や海へは車で30分の場所にあり自然の多い場所。
この環境をよく田舎と言いますが、市内へは電車で30分ほどという立地で、この辺りでは都会と田舎の真ん中という意味で「トカイナカ」と呼んでいます。
そうした環境は子育てにも生活を過ごすにもすごく快適で、それ以上に魅力を感じたのはこの町に住む人たちの温かさでした。

そう思ったきっかけは、移住して住んでいた家の裏で洗濯物を干しに庭に出ていた時、名前も知らない私に、
「お姉ちゃん、これ食べり~」
「これ、こうやって食べると美味しいんやで」
と、採れたての野菜を手に声をかけてくれた家の裏にある畑を営むおばあさんでした。
それ以来、庭に出て顔を合わせては多くとれた野菜をくださったり、たわいもない話をする仲になりました。
それだけでなく、私が「こんなことをしたい」と相談すると「よっしゃ、やろう!」と動いてくれる人、人と人とを繋いでくれる人、喜んだり悲しんだり感情としても共感し、初対面でよそものだった私を迎えて大切にしてくれる町の皆さんに人の温かさを感じ、感動しました。

昔からいたような安心感を与えてくれる第二のふるさとに、恩返しを

そんな経験をした今は、人との繋がりも広くなり、わたしが人と人とを繋いだり、困りごとがある人がいれば一緒に考えたり解決する側に。
現在は、そんな第二のふるさとをもっと多くの人に知ってもらいたい、町の人に町の魅力をもっと感じてもらいたい、こんな気持ちにさせてくれたこの町になにか恩返しができたらと、自分のできることの一つとして町のPR大使としてPRソングを作詞作曲し、町の皆さんとプロモーションビデオをつくり、移住定住促進事業としてプロジェクトを今も継続し、進めています。

生まれ故郷を離れ移住して、5年。
はじめは寂しさや不安もあったけれど、移住してから住むごとに増す愛着感、色んな経験や思い出、昔からここにいたような安心感を与えてくれたこの町。
移住して本当によかったと、思い出を振り返るたびに感じます。
ふるさととは、生まれ育った場所のように小さい頃の思い出を思い出したり、帰るような場所だけではなく、「住めば都」と言うように新たに住むことで愛し愛されることの出来る場所でもあるのだなと感じさせてくれた私の2つのふるさとの存在。

ただいま、と帰って来る場所がある幸せ。
おかえり、と言って帰る場所がある幸せ。
それを教えてくれた私の愛する、2つのふるさと。
いつまでも私の大事なふるさとです。