「人に優しく、自分に厳しく」
「自分で決めたことは必ずやり通す。どんなにしんどくても、笑顔でいること」
「努力しないで夢など叶わない」
これが、小学生からの私の軸。大きな夢を持った私は、どうしても夢を叶えたかった。
その夢は、大きくてキラキラしていてとても遠いところにある。そんな夢を叶えるためには、人一倍努力しなきゃいけない。そうして、自分ができることに全力で挑戦して、一歩一歩近づけるよう歩いた。
ピアノ、バレエ、水泳、吹奏楽、そして勉強。晴れ舞台があると、そこに向けて一生懸命に立ち向かえる。私の夢の先には、人がいた。誰かに夢を与えられる存在になりたい。だから、普段から人がどう感じているか、親はどう思うのか、ということにとても敏感だった。
バセドウ病を発症し、築き上げた自分の軸を変えざるを得なくなった
高校の頃、友人の中で誰かを仲間はずれにする事が起きた。その行動が許せず、誰かがそんな想いをしなきゃいけないなら私でいい、と本気で思った。気が付けば、自分がどう思うか、どう感じるか、ということはさておき、すっかり他人軸になっていた。
そう気付かされたのは、夢を諦め、社会人の責任を果たそうと真っ当なサラリーマンになった矢先のこと。
体調が悪く病院へ行った。医者からバセドウ病だと告げられ、運動禁止のドクターストップがかかった。私の23年間築き上げてきた軸を変えざるを得なくなったのだ。
もちろん軸の軌道修正は簡単なものではない。そんなことよりも、風邪も引かない私が病気だということを受け入れるまでには時間が必要だった。
社会人1年目にして、人生の希望をなくしてしまった。一生懸命に仕事に集中したいのに、体調不良で会社に行けない。新人なのに会社に迷惑ばかりかけている。大学時代の誇りは、過去の栄光となり、いつしか自信などどこかへ消え去っていった。
しんどい素振りを見せないため限界状態で頑張ってしまい、病気が悪化
しかも、最悪なのは今までと同じように、どんなにしんどくても倒れるまでやる、限界を超えなきゃ成長しない、と厳しく律してきてしまったせいで、しんどい素振りを見せないように、限界状態で頑張ってしまったこと。余計に病気を悪化させたのだろう。甲状腺の病気は、ホルモンに影響するので、体調だけでなく、精神的にも影響が出る場合がある。
昔から夢をなくしたことは一度もなかった。目標がない時期などなかった。夢を諦め、社会人になった途端、可能性に溢れているはずの23歳は真っ暗な光の見えないトンネルへと潜り込んでしまった。
どう生きていけば良いのか。その答えは自分の中にしかない。幸せに豊かに暮らしていくためには、どうすればいいのか、そればかりを考え、とにかく本を読み、真似をしてみたり。自分なりに状況を打破するために邁進してきた。
自分が楽しいこと、嫌なこと、心地よいと感じること、そうして自分ととことん向き合い、考え方や価値観が少しずつ変わり、気が付けば自分軸へと大きく軌道修正をしていた。
歯を食いしばって作った笑顔よりも、心の底から笑っている方が素敵
自分を褒めることすらできなかった7年前。今は、みんながHappyでいる、みんなの中に私も仲間入りすることができた。
苦しみ耐え、辛い想いをした人が歯を食いしばって作った笑顔よりも、心の底から笑っている人の方がどれだけ素敵だろう。まずは自分が幸せになっていい。毎日を楽しく、豊かに過ごして、自由に生きていい。これは私の人生だから。
病気は私を人生の絶望の淵に立たせたかと思っていたが、それは違った。このままの私の軸では危ない、と気付かせてくれたのだと今は思う。
正直3年間はここには書ききれないほど、しんどかった。治療と共に信じてきた確固たる軸を壊さなくちゃいけなかったから。もちろん夢や目標に向かって努力することはとても素晴らしいことだし、その努力は決して無駄にはならない。その経験が救ってくれることもある。
でも、どんな状態であろうと、生きているだけでどれほど素晴らしいことか、気付くことができた。
病気は自分の人生に感謝をする機会を、価値観や生き方を考え直すきっかけを、これからの未来は私次第だと自由をくれた。満ち溢れた分、お裾分けをできるような存在になるために、自分を満たしながら楽しく豊かに日々を積み重ねていく。
人に優しく、自分に優しく。これが今の私の軸。