私はロリィタファッションが好き。
それでも思うこと。正直、真夏にロリィタファッションは暑い。
カジュアルに着こなす時もあるが、それでも暑い。  
ロリィタファッションを着ている時は特に、他人に汗を見られたくない。我慢して我慢できる問題ではないので、汗が出たら出てきてしまった時だが。

場合により、カジュアルに着こなすという気分にならない時もある。そのような時は我慢してフル装備のロリィタファッションで街を歩く。
大学4年の夏、私は卒論の為にロリィタファッションで街によく出掛けていた。汗をかきながらも。それが私の「汗と青春」だ。

卒論のテーマは「ロリィタファッションをする人のアイデンティティ」

私の卒論のテーマは、「ロリィタファッションをする人のアイデンティティ」だった。
簡単に答えが見つかる内容ではない。さまざまなものと睨めっこをする日々であった。

「ロリィタファッションをする人」と明記してある以上、ロリィタファッションを好む方の声は必要だ。アンケートを取るならばある程度人数が必要。しかし、それは難しいと考え、約10人の方に詳しくインタビューをとることにした。ほとんどの方に直接会い、お話を聞いた。

その時は基本ロリィタファッション。カジュアルに着こなすこともあったが(カジュアルロリィタ、略してカジュロリという)、大抵はカジュアルではない、ある意味フル装備のロリィタファッションで行った。

ロリィタ服の生地は綿のものもあるが、化繊のものもある。化繊の服はシワになりにくいが、非常に暑い。
スカートの中にはスカートを膨らませるパニエを入れる。そちらは化繊だ。暑い。しかも膨らませるために重なっている。より暑い。

オーバーニーで脚も暑い。重ね塗りで肌も暑い。しかしこれが私だ

当時の私は夏であろうとロリィタファッションの時はオーバーニーソックスを履いていた。脚も暑い。
メイクは重ね塗りをする。肌に何重もの物質を。肌も暑い。
そうして暑い服装の私が出来上がり。
しかしこれが私だ。私の好きなファッションである。暑くても好きで着ているファッション。

その格好でインタビューのため街へと出掛ける。日傘も忘れずに。
街を歩くと汗がすぐ吹き出る。汗を見せぬように、ハンカチで拭く。
目的地に着く直前は御手洗いに寄り、パウダースペースでメイクをチェックする。目はパンダ目になっていないか、肌はよれていないか、口紅はきちんとついているか、等。

当時京都に住んでいた私は、京都、大阪、兵庫、東京でインタビューをした。東京はロリィタのお茶会があり、それに出席するためでもあった。当時の東京も非常に暑かった。
予めSNSで会う約束をし、当日カフェやレストランでインタビューをする。汗をかいていたことを忘れるほど、話が盛り上がる。

ロリィタファッションで熱い中、歩いた。たくさんの出会いがあった夏

カフェやレストランに入ってしまえば、汗も乾き涼しくなるが、お店の外に出て仕舞えばまた汗ばむ。
家に帰ると、クーラーの効いた部屋でインタビューした内容を文字に起こす。インタビュー中はスマホで録音させてもらっていたので、それを使い全ての会話を文字に起こしていった。

そこに汗をかいていたことは書かれていない。しかし、ロリィタファッションをし、暑い中街を歩いたという事実は残っている。

自分の好きな格好、ロリィタファッションで卒論のためたくさん汗をかきながら街を歩いた夏。
卒論と戦いたくさんの出会いがあった。そのような大学4年の夏は2度と来ない。