スイスのルツェルンという街を、みなさんはご存知でしょうか。
中央ヨーロッパに位置するスイスは、北にドイツ、西にフランス、南にイタリア、そして東にオーストリアというヨーロッパの主要国に囲まれているのにも関わらず、EUには加入していない面白い国です。日本では「アルプスの少女 ハイジ」の舞台として、ご存知の方も多いのではないでしょうか。東西に続く雄大なアルプス山脈を抱えた、自然豊かで美しい国です。

スイスのど真ん中に位置し、建国の歴史にも関わる大きな湖に面した街

ルツェルンという街は、そのスイスのど真ん中に位置する街です。
チューリッヒ空港から南へ、電車で揺られること1時間、ルツェルン駅に到着します。モダンで大きな駅を出ると、そこには大きな湖が広がっています。この湖は正式名称をVierwaltschtaettersee(四つの森の州(カントン)の湖)といい、大きなひし形の湖はいくつかの州に面していることからその名がつきました。
さらに1291年8月1日にはその湖畔のシュヴィーツという街で同盟がなされたとして、建国の歴史にも大きく関わっているそうです。

駅の右手にはルツェルン・カルチャー・コングレスセンター(通称KKL)が見えています。
夏にはおよそ一ヶ月間にわたって、ルツェルン・フェスティバルという音楽の祭典が開催され、そこには世界各国の最高峰のオーケストラが招集されます。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、オランダ王立ロイヤルコンセルトヘボウオーケストラ、ロンドン交響楽団、そしてルツェルン祝祭管弦楽団などなど。音楽家を目指す学生や音楽愛好家ならたまらないほどの著名な音楽家たちが集まり、学生ならば20CHF(およそ2200円ほど)でS席のチケットを手に入れて鑑賞することができます。

「ああ、この街で勉強できたら」。初めて訪れた日、この街に恋をした

私が初めてルツェルンに来たのは、2019年の2月19日。当時は受験準備のためにドイツのフライブルクという街にいて、受験の下見のためにルツェルンに来たのでした。
その時のこの街の美しさといったら、今でも思い出されるくらいキラキラとしていました。太陽は燦々と光を大地に注ぎ、その光を反射する湖がキラキラ輝き、街は清潔で美しい。丘の上にあった大学の校舎からは、湖とその奥に雪を纏って真っ白になったアルプス山脈が見えました。
「ああ、この街で勉強できたら、どんなに幸せなんだろう」
その日、私はこの街に恋をしました。

それからルツェルンの大学に合格し、私はおよそ2年そこに住んでいました。コロナ禍のせいでまるまる2年いることはできませんでしたが、この街で過ごした日々は、私の人生において一番美しい記憶だといっても過言ではありません。

スイス中を旅して様々な街を見て回っても、やっぱりこの街が1番好き

朝起きると窓の外が妙に明るくて、ブラインドを開けると広がる、一面銀世界の冬の日。少しずつ暖かくなり、春の訪れを感じさせる太陽の光。夏には思わず泳ぎたくてしょうがなくなってしまうほど、透き通っていてひんやりと冷たい湖。気温によって山脈に雪が積もる、冬の訪れを感じさせる秋の日。音楽家ではリヒャルト・ワーグナーやラフマニノフが居を構え、メンデルスゾーンが旅の途中で絵に残しています。
もしこの街に一度訪れたら、私がここまで大好きになったこの街の良さが、嫌というほどわかるでしょう。

完全帰国を終える直前に2週間ほどスイス中を旅して様々な街を見て回りましたが、やっぱりルツェルンが1番好きだという結論に至りました。あの青色と白色に支配された美しい街は、唯一無二で世界一の街だと、私は思います。
生まれ育ったのが大阪市内ということもあり、自然に対して憧れの強かった私には、この街は私の桃源郷のようで、また絶対に訪れたい思い入れの強い街です。
ルツェルンこそが私の憧れの街で、もう一つのふるさとなのです。