この夏は静かだったように思う。花火もあまり上がらないし、外に出ても人の声がいつもほどにぎやかではない。
みんなの心も外側から内側へ向かっていたように思う。長く続く自粛生活で、もうそれも当たり前のように見えている。
大学生になり常にフル回転だった私は、初めてまともに夏休みをとった
私はこの夏、大学生活で初めてまともに夏休みをした。1年の時はバイトづくし、2年の時はサークルづくし、3年は就活づくしかと思いきや、かなりのんびり過ごしていた。
1度くらいまともに休んでみたかったのだ。ずっと学業と習い事と声優の勉強とサークルを続けて、習い事を辞めたら代わりにバイトを始めて、いつもフル回転。
予定が1つもない日なんて、ほぼない生活。そんな私が大学生活を始めてから、初めてまともに夏休みをした。
まず、好きなだけ寝る。動画を見て音楽をかけて、ひたすら1日ダラダラ過ごす。就活もほぼせず、台本も開かず、かといって勉強もせず、ただただひたすらのんびり過ごしていた。
自分の時間を持つことで、「自分の生活」を見直す機会も増えた
ダラダラ生活の先に待っていたのは、意外にもよい変化だった。慢性化していて、もはやわからなくなっていた睡眠不足や疲労感が解消され、放置されていた家の中に手が回るようになった。
自分の時間を持つことに対する罪悪感がなくなり、自分の生活を見直す機会も増えた。今まで憧れで終わっていた、おしゃれな家の中を目指すようになり、服装から小物まで、いろいろとこだわるようになった。
緊急事態宣言延長で友達との約束もなくなり、時間はさらに増えた。時間を気にせず、やりたいことをやれる環境に幸せを感じた。どちらかというとインドア派の私にとって、ひたすら心地良い日々であった。
夏休みも残すところ1週間ほどになり、さすがに夏休み前の生活を待ち構えるモードに入ったきた。けれども、のんびり過ごした夏休みは私の中で新たなライフスタイルを生み出した。
人間は機械ではないから、ダラダラしたり静かに休んだりする時間も必要
それは、自分の時間を持てるスケジュールにすること。睡眠不足も疲労感もストレスも解消された今、自分がどれだけ無理をしていたのかを実感した。
振り返れば、夏休みまで毎月体調を崩していた。それすらもあまり気に留めないほど動き続けていた。
人間は機械ではないし、永遠に動き続けることはできない。静かに休む時間も必要だ。休むことで、見えなかったものが見えてくる。そして、調整をして人生を前に進められる。
この夏は多くの人にとって、ポジティブにもネガティブにも静かな夏だったのではないかと思う。静かに過ごすことで自分と向き合う時間が増え、新たな発見をした人も多いのではないだろうか。