私には2人の姉がいる。3姉妹の末っ子である私にとって、「奴ら」は長年猛威を振るう存在であった。

私は時折、2人のことを「ドリゼラ」と「アナスタシア」と揶揄した。生まれて初めて見たディズニー長編アニメーションの「シンデレラ」のいじわるな姉2人組だ(間接的に自分はシンデレラと言っています)。

私の「2人の姉」はタッグを組んで、シンデレラである私を可愛がった

5歳年上のドリゼラと2歳年上のアナスタシアの2人は、幼い頃から気が合うようで、母と4人で出かけるときは決まって2ペア2列に分かれて歩いた。お母さんっ子だった私は好んで母の隣を死守していたのだけれど、仲良しの2人を羨望の眼差しで見ることもあった。

好きな漫画の話、美容の話、恋愛の話……。年齢を重ねるにつれて、いろんな女子トークを繰り広げているんだと想像すると、早く2人の仲間入りを果たしたいと思った。

けれど、そう思い出したのはだいたい私が20歳を過ぎた頃からで、それ以前の2人は私にとって、タッグを組んでシンデレラを「可愛がる」存在だった。

まだドリゼラが幼稚園生だった頃。当時3姉妹とも「おかあさんといっしょ」にハマっていた。けれど2人の観点は私のとは違った。スタジオに群れる幼児たちになった気持ちで番組を観覧する私とは違って、ドリゼラとアナスタシアはあろうことか「歌のお姉さん」の立場で見ていたのだ。

2人の姉は、私がピンチになると物凄いパワーと勢いで助けてくれる

そうなるともう2人の中で「お姉さん役がしたい……」という欲望が芽生えてきて、すかさずおもちゃのマイクを手に取り、「おかあさんといっしょごっこ」を始めるのだった。そこで必要とされる「幼児役」。2人より身体の小さかった私の抵抗も空しく、私は毎日のようにいやいや「おかあさんといっしょごっこ」に駆り出された。

面倒くさくて号泣すると、「はーい!今日はご機嫌斜めかな~!?」と役に入り込む姿勢はプロ顔負けだった。2人はもう忘れているかも知れない。けれど私は多分、ずっと忘れずに根に持っている。

そんな2人は今、私がピンチに陥ると、西郷隆盛でも逃げ出すんじゃないかというくらいのパワーと勢いで助けてくれる。はっきり言って物凄く心強い。いざというときの結束も固い。精神的にも経済的にもとても助けられている。

あの頃、いやいや数々の「〇〇ごっこ」に強制参加させられていた苦労が報われたと思うと、まあ、シンデレラでいるのも悪くない。

私が29歳になって思う「姉妹も捨てたもんじゃないなあ」と

私は今年29歳になる。2人にとって私はまだ3歳のままなのかなと思うこともある。私が化粧をしながら歌っていると、十中八九動画を撮られているし、ネットフリックスの私のプロフィール写真は、何度変えてもデブのおじさんの写真に設定される。

ドリゼラは相変わらず、人に質問しておいて返事を何一つ聞いてはいない「鬼のマイペース力」をかましているし、アナスタシアは怒ると怖いけど、たまに謎の「爆買いするついでに何でも買ってあげる病」を発症する。この歳になっても「姉妹も捨てたもんじゃないなあ」と思う。

いつまでもファンキーでロックな鬱陶しい姉コンビでいてくれと願う。