コロナがやってくる一年前。
まだ生まれた時の世界と同じ空気を吸えた頃、私の隣には彼がいた。
その彼とはアプリで出会った。
その時私は、まだ恋愛なんて分からず今思うと恋愛ごっこや恋人ごっこをしているような、でも本気で向き合う覚悟はあった
その感覚は彼も同じで、その温度差が付き合うことに発展させたのだと思う。
お互い未熟で曖昧で不安定で、明日にでも全てが終わってしまう気もした。

一生懸命な彼に惚れた私。付き合って半年で気持ちにズレが生じた

彼はいつも私を楽しませてくれた。
正直ツボにハマる面白さではなかったが、デートを楽しませてくれてる姿が愛おしく大好きだった。
彼なりの一生懸命なところに惚れた。
そんな彼に私は愛を返せていたのだろうか。

魚を見ている場合ではないほど緊張した水族館。
手を繋いだり離したりした冬の日。
勇気を出して告白してくれた夜11時。
全然眠れなかった君の隣。
緊張でお腹がいつも空かなかったデート。
ボケやツッコミの流し方がわかってきた4ヶ月目。
流しすぎて不服そうにしてる彼。

今思えば、嫌われたくないという思いばかりが先走って、彼の隣で落ち着けたことなんてなかったような気がする。
そして、付き合って半年。
お互いの気持ちにズレが生じてきた。
気持ちだけではなく、環境もおかしくなってきた。
優先順位が変化したからだろう。

自分勝手な想いだけど、彼を振り回したくない。選んだ「別れ」

私は私の成功を成し遂げたいという想い。彼は出会った頃と変わらぬ想い。
私は自分勝手なことを自分で理解していた。でも、自分の気持ちに嘘はつけなかった。そして、もし満足できない結果になった時彼を言い訳にはしたくなかった。彼を振り回したくもなかった。

何を言っても結局、自分勝手な想いに変わりはなかった。 

雨の降る夏の夜だった。傘を開いたり閉じたりしながら長く話し合った。
告白してくれた同じ公園で、私たちは同じ場所で別れた。
それから色々とぐだってしまったりしたが、今となってはいい学びだったと思う。
今思えば、私はアプリで出会ったことを、心のどこかで引け目に感じていたところがあったと思う。
聞かれたら何て説明しようか、どう思われるんだろう、と。
どう見られてるかに囚われて、彼のこと、彼と私のことを1番に考えられなかった。
今ならそれが1番大切なことだったとよく分かる

別れることは決して悲しいことじゃないと教えてくれた彼を応援する

別れ際に彼は、「3年後、お互いの卒業の年に会おう」と言ってくれた。
別れたいと言ったのは私なのに、ふと今でもその言葉を思い出す。
たとえそれを覚えていなくても、実行できなかったとしても、純粋な気持ちではなかったとしても、私は嬉しい。

それと同時に、今頃付き合ってたら、あの時別れていなかったらと思うことも正直ある。
でも、後悔ではなく感謝を選んで彼との別れをけして残念な思い出とはしない。

そこには、あの時の私の決意と彼の応援を無駄にしたくないという強い思いがあるからだ。
その為に私は、時間を無駄にせず、今日に希望や挑戦を絶えず貫いて生きる女性になりたい。
別れることは決して悲しいことではないと教えてくれた彼を、私は心の底から応援している。