私は昔から、「女の子なんだから自分を大事にしなさい」や「親からもらった身体を大事にして」と何度も言われて育った。
彼氏ができたと言うと嫌な顔をされたり、泣かれた時もあった。ある時はピアスを開けたいと言った時も親は泣いていた。
大事にされているとわかりつつも、私はもう20歳なんだから自由にさせてほしいという思いが強かった。
「何がそんなに怖いの?」と聞かれた時、彼を選んだことを後悔した
彼氏と付き合って何回目かのデートで、ホテルに行くことになった。ようやく大人の仲間入りができるという嬉しさと未知の世界に足を踏み入れる怖さが複雑に絡み合っていた。彼の車の助手席に乗ってから、普段はおしゃべりな私が緊張のあまり黙ってしまった。
ホテルに着いて、部屋に向かっている途中で私は「やっぱり帰る」と言いたかった。大人になりたいくせに、いざそういう時が来たら逃げたくなるなんて、やっぱり子どもかもしれない。結局帰りたいと言い出せなくてベッドに腰を下ろした。
彼は私が緊張していることに気づいて、「そんなに怖い顔されたらこっちまで緊張する」と言った。とりあえず寝てみようということになり、2人並んでベッドに横たわった。すると私の緊張はさらに高まり、心臓の音が彼に聴こえそうな程だった。
「何がそんなに怖いの?」
彼にそう質問された時、どうして私はこの人を選んだんだろうと後悔した。
今まで本当に好きな人ができたことがなくて、でも彼氏がいない自分が嫌で、マッチングアプリでなんとなく知り合った彼に告白されたから付き合った。それが間違っていた。
自分を大事にしない私には、こんな時でも無神経な質問しかできない男しか来ないのだ。
「だって初めてだし……痛いのかなとか、子どもできたら嫌だなって」と正直に伝えた。
「大丈夫だって」と言われたけど、根拠もない大丈夫に安心できるわけがなかった。
そのまま2人で寝転んで、ただただ無言で天井を眺めていた。私はその時、男性は童貞を卒業することに怖さはないのか、早く童貞を卒業した方がいいのかなど疑問が浮かんできた。そのまま30分程して、私たちはホテルを後にした。
ようやく分かった、親が口うるさく自分を大事にしろという意味
友達にこのことを話したら、ホテルに行ったのに何もせずに帰るなんてと言われたけど、私はそれでよかった。
処女を捨てるだけが大人の仲間入りの方法だとは思わない。むしろ、大人の女性とは、自分の価値を知り、自分を安く売らないことだと思う。体だけではなく、「私」だから付き合いたいと言ってくれる人を見つけるべきだと、あの夜が教えてくれた。親が今まで口うるさく自分を大事にしろという意味がようやくわかった。
女性もある程度の年齢になれば、「まだ処女なの?」とか「卒業おめでとう」とか言われることもあるけれども、処女を卒業することがそんなにすごいことなのか。年齢など関係なく、自分を真剣に愛してくれて、自分も同じくらい相手のことを愛せる人と結ばれる方が大事だと思う。
そんな綺麗事が叶えば苦労しない、という意見もあるかもしれない。でも、なんとなく知り合った人に自分を預けるのは悲しいことだと思う。
いつかきっと、私も自分の子どもに「自分を大事にしなさい」と教える日が来るのだろう。