ある日私はこんな仮説を生み出した。
「目からビームは、言葉よりも素直」
急に何の話が始まったんだろう。よく分からないな、と思った人は正常である。
私が今から話すのは、「目からビーム」の話である。
興味のない人はここで終わった方が、頭がおかしくならずに済むと思う。
ありがとうございます、またどこかで。

誰もが自然とその時の感情で目からビームの「色」を使い分けている

……さて。
皆いつでもどこでも目からビームを出すが、感情によりビームは色が変わるのをご存知だろうか。
「この人好き!」ってビームは、ハートキュンキュンピンク!
「まじ何してんの…腹立つ~」これは、イカスミドロドロブラック!
「尊い!!!」これは、キラキラスターイエロー!
「この人どんな人だろ~?」これは、分析グリーン!
とりあえずこの辺りは主要ビームだろう。

私が良く出すのは、分析グリーン。
基本人に興味があるので出しっぱなしだ。
あの人なんであそこで立ってんだろ。
あの人何考えてんのかな。
あの人とあの人って付き合ってどれくらいだろ……。
妄想に近い分析グリーンである。

分析グリーンから、「友達になりたいな」と思われるタイミングに、ビームの色が段々マスカットのような黄緑色に変化する気がする。
私はそれを感じると素直に嬉しい。
それと対照的に、私が他人から向けられて苦手なのは、引くんですけどパープル!だ。

……ここまで話してきて流石に触れるが、
ネーミングについては、少しでも笑ってくれると嬉しい(ツッコミ大歓迎です)。

目からビームは言葉よりも素直。ビームでその場の空気が察知できる

だいぶ前に会社のパーティーがあって、なんかよく覚えていないが缶詰めを貰った。
「私、缶切り使ったことないんですよね」という不安を、その場にいた先輩2人に告げると、「えっ……」。
シーーーーーン……。
引くんですけどパープルーーーー。

やば、と思った私だけヘラヘラ笑っていた。
缶切り使えないのって、そんなやばいの?!とその時は思い、全身汗だくになった。
よくよく考えてみると、なんでよ別にいいじゃん、笑ってくれればいいのに、と思った(いや、常識なさすぎる私が悪い)。

つまり私が言いたい事は最初に戻る。
「目からビームは、言葉よりも素直」という事だ。
このパーティーでの出来事も、先輩は「えっ……」としか言っていない。
だけど、私に向けられたビームと、ビームに影響された空気感により、私は「あ、今引かれたな」と察知したのである。
他のビームも同じだ。
別に言葉にしなくても、そのビームでなんとなくどう思っているのか予測出来る。
自然と「目からビーム」で私達は相手を探り合っている。

言葉じゃ上手く伝えられない人も、ビームくらいは素直でいてほしい

言葉はどうしたって素直じゃいられない。
歳を重ねる度に、考えて発するからだ。
感情は複雑で、賢いから嘘だってつける。
そんな時、ビームはヒントになる。
仲が良いとビームだけで会話だって出来る。
心が繋がっているみたいで、素敵だ。

でも、私はふと不安になる。
これに皆が気付いてしまったら。
ビームを意識したら。
ビームすら素直じゃなくなったりするんだろうか?
嫌だな、と思う。
言葉じゃ上手く伝えられない人も、ビームくらいは、素直で居てほしい。

「大丈夫」と言いながら、私に向けられないウルウルブルーのビーム。
ウルウルブルーは、大抵パワーがないから下に向かって落ちていく。
私はそのビームだけは、必ず見逃したくないと心に決めている。

だから、見せてよ。
そのくらいの隙を見せて欲しい。
そしたら私は言葉にして聞けるのだ。
「なに、なんかあった?」と。
お願いだから、それくらい言わせてくれ。
あなたの心を助けたいと思う位は……許して欲しい。

視線を感じたとき。
私は何色のビームかを感じ取る。
まだまだ研究中である。