わたしは青色が好きな、女子大の情報系出身の数学が好きだった女子校出身だ。
ちょっと短い教員人生の中で共学と女子校を経験させてもらった中で、自分が女子校のありがたさに気づいた点をいくつか述べたい。

何かあった際も、「自力」でせざるを得ないのが女子校だった

まず、一番は「躊躇をしない」ということである。
手っ取り早いのはドッヂボールをすると分かる。女子校のドッヂボール大会は非常に盛り上がる。
共学出身だった友人と女子大の体育でドッヂボールをやった際、
「こんなにボールぶん投げたの久しぶり!」
と、気持ち良い笑顔を見せてくれたことを私は今でも覚えている。

共学の場合、そりゃ男子の方がボールは強いし上手い場合が多い。加えて「女性らしさ」や「異性の目」を意識して躊躇してしまうこともしばしばである。
もし何かあった際にマシンガンを手渡されて、男性にとりあえず譲れる状況があり、どうしようとなるのが共学の状況であるならば「あ、自力で撃たなあかんのね」と引き金を引かざるを得ないのが女子校なのだ。

理系科目は男子がやるもの?女子校では躊躇せず選べていたのに

それは体育だけではなく、勉強や進路面もとても強い。
共学校に教師として勤務していた時、理系科目の一部を担当していると、「珍しい」「女子なのに」「かっこいい」等、謎の評価を受けた。女子校ではちょっと少ないと思いつつもそんなことないと思っていた。現に進学校の女子校では、学年の半分が理系だった。

共学校でも変わらんだろう。赴任時、そう思っていた。が、それは蓋を開けてみると全く別の違う世界だった。
パソコン室に選択科目で入ると、男子しかいなかった。
数学の上クラスは、みんな男の子だった。
女の子は「男子しかいないから」とパソコン部の入部を躊躇した。
理系クラスの部屋はほとんど男の子だった。

「将来、情報系に進める女の子が増えてくれるのが夢」と採用面接で語ったけれど、4年頑張って、最終的に情報系に行ってくれた女の子は、女子校の時に育てた女の子たちだけだった。
学問を選ぶ際に、理系科目を「男子が多いから」「男子がやるものだから」目を逸らす。そんな消去法に自分が愛した選んだ道がされていたことがショックだった。

私は女子校時代、数学が一番好きな科目だった。化学部に入った。理系選択もなんの抵抗もなく行った。女子大の情報系にはオタク女子がわんさかいて、プログラミングをしたりするのは楽しかった。そんなごくごく当たり前の選択を躊躇してしまう女の子たちがたくさんいた現実を目の当たりにしてしまった。
私を作り上げていたものは、女子校の中で「躊躇しない」で何もかもを選べていた結果のものだったのだなと思い知った。

没収したリップの色がはっきり分かれていて、悲しくなった

好きな色を思い浮かべてほしい。次に、色のついた戦隊ヒーローを思い出してほしい。そして周りの環境を含めた上で考慮してほしい。あなたは何色を担当するだろうか。さぁ、その色は同じだろうか。

共学では「ブルー」や「グリーン」、「ブラック」が好きな女の子たちが、ドッヂボールを男子に譲って、数学を興味の対象から外して、情報を選択科目から省いて「ピンク」や「イエロー」を選ぶことがある。「**くんが絶対にグリーンだろうから」といって、譲ってしまうこともあるだろう。そして女子同士の奪い合いと駆け引きがあるわけだ。
悲しいかな女の子は「譲れて」しまい、「我慢」できてしまう。ただ、女子校はブルーもグリーンもその言い訳はない。女子同士の奪い合いと駆け引きがもう最初にくる。

もう一つ。リップの色を思い出してほしい。
デートの時と、友達と遊ぶ時。何色のルージュを引くだろうか。そして、あなたは同じ色を引くだろうか。
分ける人がいるという話を聞いたことがある。

教員時代、幾度となく校則違反で化粧品の摘発をさせていただいたことはあったが、共学では、可愛さやウケ目線が感じられたピンクのリップを手にしていた。取った瞬間の感想は「なんかかわいいな」だった。
これに対し、思い返すと女子校の方で摘発したリップは色が尖っていた。赤や茶色。「何このエビチリみたいな色」「茶色とかどうすんのこれ」と先輩の先生方はツッコミを入れていた。「好きなの選びやがってコイツら...」と常日頃思っていた。

そりゃ校則違反は先生としてはよろしくないけれど、共学校でピンクのリップばかりを手にした時は、そんなとこまで我慢しなくていいんだよと、なんだか別の意味で悲しくなってしまった。そりゃ男ウケという基準がある分、失敗はないかもしれない。楽かもしれない。だが、自主性というか、身だしなみは他人のため、おしゃれは自分のためなので、そこはぜひ「自分」を大切にして欲しい。

そんなわけで、私は女子校肯定大好きにすっかり成長してしまった。最初の紹介を、いくら気が強いとはいえ、もし仮に共学に私が行った場合、全ておさえることができただろうかと思う。

共学の女の子たちへ。躊躇しないで、好きな色選んでいいんだよ。
そう伝えられれば、伝えたい。