自分で書くのも恥ずかしいが、私の体型は、小柄で痩せぎすである。
もともと痩せ気味の体型だったが、高校生の時に発症した摂食障害が原因で体重が平均を下回り、更に痩せてしまった。周りからは会う度に「また痩せた?」と訊かれ、自分では不健康な痩せ方をしている自覚がないという厄介なタイプだった。
「だった」と過去形で表現するのは、今は趣味の一つであるコスプレのおかげで自分の体型に向き合う事が出来たのと、自分に似合うファッションを見付けられたからである。

似合う服がないと途方に暮れていた私を変えた、好きな漫画のコスプレ

痩せてから気付いた事は、どんなに痩せていても着られる服がないという事だった。痩せる前に着ていたMサイズの服がぶかぶかになって着られなくなり、サイズが合っていても骨格が合っていなくて結果似合わないなんて事もあった。
テーマパークのハロウィーンイベントで仮装する為に衣装を買った時も、レディースのフリーサイズが大きすぎて、小柄な自分に合うものが見付からず途方に暮れていた。
そんな時、緊急事態宣言解除後の春休みにアニメ系の大手コスプレイベントの存在を知り、初めてアニメのコスプレを人前で披露しようと決意した。

人気の作品や定番の作品も良いが、やはり流行に左右されず好きな作品のキャラクターの衣装を一度は着てみたい。そう思った私は三年前にアニメ化された漫画「宝石の国」のコスプレを身に纏い、イベントに行った。
この漫画のキャラクターが着ている服は、半袖のスーツにホットパンツというタイトなデザインで、衣装が届いた時に試着してみたら驚く程自分の体型にピッタリと合っていた。コスプレ趣味に理解がある親も、衣装を着た私を見て、「似合っているじゃない、ずっとこのコスプレをすれば良いのに」と言ってくれた。会場では様々な参加者に声をかけられ、「スタイルが良いですね!」と褒められたりもした。

今の体型が一番良いと思えたのは、似合うファッションが分かったから

聞けば、「宝石の国」のコスプレをする人は、原作のキャラクターがスレンダーなので、体型の面でかなり悩むのだという。それでも、不思議と「もっと痩せよう」とは思わなかった。今の体型のままが一番良い、寧ろこれ以上痩せても良い事はきっとない、似合うのは体型を隠さないタイトなファッションだと分かったからだ。
それから少しずつではあるものの、ご飯が食べられるようになり、タイトな服装を好んで私服を買う為にショッピングをするのも楽しめるようになった。
決して自分のスタイルは優れているとは思わないが、一着のコスプレ衣装がきっかけでファッションへの興味がこんなにも広がり、自分の体型に自信が持てるようになって自己肯定感の芽生えに繋がるとは思わなかった。

今の自分を好きになれる手助けをしてくれたあの時の一着は、今もずっとイベントで着続けている。これからもずっと、あの衣装と共に色々な事を楽しんでいきたい。
コスプレはずっと続けられるか分からない。だからこそ、今のうちに思い出作りも兼ねて重ねてきた経験を大事にしたい。