私が言うまでもないと思うのだが、ドロンジョ様というのは、黒いボディスーツとマントに身を包む、たいへんセクシーな女性だ。かぶりものと仮面で顔を隠しているのに、金髪碧眼で美女っぷりがあふれている、あのお方だ。
2021年は、そんな魅力にあふれたドロンジョ様のコスプレがしたい。
私はドロンジョ様になりたい。情には厚く責任感のある女性なのだ
こう書くと、「エロい格好をするのが趣味なのか」とかん違いをされそうだから、私がやっているコスプレについて説明する。
私はキャラクターへの愛を表現するために、コスプレをしている。とはいえたいそうな意味ではなく、ヒーロー好きな子どもが、自由帳にウルトラマンの絵を描くようなものだ。また「コスプレが趣味です」と言ったら、「変身願望だね」と言われたことがある。たしかにメイクで自分の顔を消して、衣装やウィッグまでつくっているのだから、「こうなりたい」という気持ちが少しはあるのだろう。
そう。私は、ドロンジョ様になりたいと思っているのだ。
昨年、久しぶりに「ヤッターマン」を観た。コロナ禍で気が沈み「なんか子ども向けの、楽しいアニメが観たい」と思ったからだ。
昔観ていたときから、私は主人公のヤッターマンより、悪役トリオのドロンボー一味が好きだった。なかでも「スカポンタン」と叫び、部下のボヤッキーとトンズラーを従えているボスの姿は、ふとこんなことを考えさせた。
そういえばドロンジョ様って、24歳なんだよな。
2人の部下をこき使っているようにも見えるが、情には厚く責任感のある女性なのだ。ちなみにボヤッキーが25歳、トンズラーは30歳らしいので、異性で年上の部下を引っ張っていることになる。
人間的な魅力がある。来年同い年の私には、こんな魅力があるかしら
「お嫁のもらい手がない」などとからかわれて、年増扱いされることもある。放送当時から40年経っているのもあるが、同じくサザエさんも24歳らしいので、それが当時の一般的なモデルなのだろうか。にしたって失礼な話だが、私もじきそんな扱いを受ける運命なのか、とも感じてしまった。
ほかにもいい話を聞いて涙ぐむことがあったり、敵であるはずのヤッターマン1号に恋をしてしまったりと、人間的な魅力がたくさんある。
来年同い年になる私には、こんな魅力があるかしら。
あの特徴的な衣装についても、ただのきれいでセクシーなお姉さんではない、と感じさせる背景がある。
ドロンジョ様は男装している場面で「男でそんなに胸が出ているものか」と言われる、ボヤッキーに胸を触られるなど、セクハラを受けることもある。それでも自ら「お色気担当」を名乗り、セクシーな衣装を着続けているのだ。さらに男性を超せるくらいの高身長でありながら、かなり高いヒールを履いているところからも、自身のスタイルを貫いていると感じる。
「キャラクターになれる」というのは、メンタル面でも心強いものだ
私は小学生まで、高い身長がコンプレックスだった(そこからほぼ伸びず、161センチで止まったので今は悩んでいないが)。そして以前エッセイにもしたのだが、成長しすぎた胸をはじめ、自分の体型が好きになれない。
あの衣装を着るには、かなりの覚悟や準備が必要だろう。「コスプレをする」と決めることで、自分みがきに力が入ったり、自信がついたりすることも狙っている。
「キャラクターになれる」というのは、メンタル面でも心強いものだ。
たとえば上司に怒られたとして「ああ、ドロンジョ様だったら『うるさいねぇスカポンタン!』で一掃できるのに……」などと妄想することがたびたびあった(ほかにも多くのキャラクターで妄想をためした)。しかしドロンジョ様のコスプレをしていれば「私はドロンジョ様だから、あんなスカポンタンは相手にしないのよぉ」と強気でいられるだろう。
実際にドロンジョ様のコスプレをして、私にどんな変化が起こるのか。それはぜひともエッセイにして、「かがみよかがみ」に投稿したい。