何のために就活をするのだろう。
久しぶりにアルバイトに出勤した、髪色が暗くなった先輩を見て思う。
社会のため?未来の子供たちのため?自分の生活費のため?家族を安心させるため?
面接で答えるようなことを本気で思う人はどれだけいるのだろうか。

仕事をしていれば誰かのためになることはたくさんある。だけど、それが社会のためになっていると感じる人なんてきっとほとんどない。
未来の子供たちの生きる世界はきっと今より便利になっているはずだし、自分の生活費だってアルバイトをたくさんすれば意外とまかなえる。
就職した方が給与は安定するが、リストラされない確証はない。じゃあ何故、皆就職をするのだろうか。
思考を巡らせて、私はある答えにたどり着いた。
本当のところ、きっと皆「皆この年に就職する」という刷り込みがあるから就活するのだろう。就活はきっと一つの分岐点でしかないのだ。

就職説明会でのカメラオンオフで、就活のやる気は測れるのか

そんな私の元にも今年の春、学校から就職ガイダンスのお知らせが届いた。
「就職を希望する者は、全員参加するように」
そう記されているのにも関わらず、なぜか日時は春休み明けの授業時間と丸かぶりだった。
本当に全員参加させる気があるのだろうかと思いつつも、その時間の授業は出席を諦めた。
今年は情勢を鑑みて、Zoomで説明会が開かれることになり、当日はマイクオフ、カメラもオフで問題ないとのことだった。
しかし、説明会の終盤。担当者が突然画面を見てこう言い放った。
「私、今日カメラはオフでも問題ないと言いました。ただここでオンにしている人には、積極性を感じますよね。」

「は?」だった。
説明会から面接みたいな引っかけをしてくるのか、私の通う大学は。
チャット欄で学生側にも事情があるのではと反論をした人もいたが、担当者は、
「じゃあ最終面接がオンラインだった場合もカメラオフなの?」
と言ってのけた。幸か不幸か、おかげで就活が大変だということは伝わった気がした。

考えれば考えるほど就活は残酷で、就職できるかと不安に襲われる

いよいよ本格的に就活について考える時期になってきた。
夏に応募したインターンはコロナ禍の影響で、延期、中止、抽選、選考と倍率も高く、なかなか思うように進まなかった。
就きたい職種に就けなかったら。自分が必要とされていなかったら。自分だけ決まらなかったら。
どんどん集まってくる就活情報を見る度に、就職できるかという不安に襲われる。
もしかしたら、自分が就きたくてたまらない職に、何となく受けた人が通るかも知れない。
私が何となく就いた職が、誰かのたまらなく就きたい職かも知れない。
考えれば考えるほど就活は残酷だ。

就活について考えるようになってから、人生において定位置はないと感じることが増えた。
小学校、中学校、高校、大学。入学式があれば、当然のように卒業式がある。
アルバイトを初めてもいつかは辞める日が来る。
恋人や夫婦になったからと言っていつまでもその関係が続くとは限らないし、親になったりすれば立場も変わる。
友達だって価値観が違うことに気がつけば離れることもあるし、親友になることもある。
同じように、就職も人生における通過点の一つなのだと思う。
就職してもずっと同じ会社に勤める人はごくわずかだろうし、ずっと同じ会社に勤めていたとしてもいつまでも新人ではいられない。

それならば、自分の就きたい仕事を追い求めて就活をしてみようと思う。
上手くいかなかったとしても、人生には定位置はないのだ。
遠回りになっても何度でもチャレンジしてみようと思う。