高校2年生まで何不自由ない生活を送ってきた。好きな習い事をし、部活をし、アウトドア好きの家族だったので休みの日も充実していた。自分の中で頑張ろうと決めたことは、何でも頑張れていた。
突然父を失った。上京して一人暮らし。寂しさと現実逃避で過食に
高校3年生の4月、突然に父を失った。本当に突然だった。大学受験が控えていたため、勉強に逃げた。勉強していないと、何かしていないと立ち止まりそうで怖かった。とにかく、勉強するしかなかった。
でも、どこか、抜けていた。勉強は逃げ場だったので身についてるのとはまた違った。散々悩んだ挙句、浪人した。もう1年やり直せるという状況に希望を抱いた。
1年後無事に合格した。第一志望ではなかったけど、自分の中で納得のいく結果だった。浪人中も勉強のことばかりを考えた。他に気を配っている余裕はなかった。
上京して一人暮らしを始めた。そこで、どれだけ家族に支えられていたか知った。今までの自分が崩れていった。寂しさと現実逃避によって食に逃げることが始まった。過食に近いほどに食べた。
当然太った。何度も抜け出そうとしたけれど、途中で気持ちが切れる。太った自分が大嫌いで、何度も痩せようと思うのに、夜になるとどうでもよくなって食べてしまう。
相談できる人はいない。母になんて絶対言えない。自分を大切にできない。未来のために頑張れない。「未来って何」って思ってしまう。
父の分も生きなければと思うのに、頑張れない自分が許せない
こんなこと言っている場合ではないとも強く思う。もっと色々なことに対して知識をつけて社会に出ていかないといけないのに。一人親というハンディも背負っているのに。
なんでこんなにできない自分になってしまったのか。両親の存在が自分にとってとてつもなく大きかったことに、今更になって気づいた。
父の分も生きなければと思うのに、生きられていない、頑張れていない自分が許せない。何回も同じことを思って、行動に移せない自分が許せない。ずっと向き合うことから逃げてきて、現実を見ることのできていない自分がいる。
人生って何だろう。生きるって何だろう。どうせ生きるなら楽しい方がいいとも思う。今のままだと人生楽しくないし、悪い方へ向いている。
幸せになる権利は自分にもある。今は最悪だけど、ここからどうなっていくかはやっぱり自分次第。これを最後の決意にしたい。絶対に親孝行はする。だって、寂しすぎる。母のことを考えると心が押しつぶされそうになる。
生きていることって普通じゃない。くじけても頑張って生きていきたい
自分は大学にも通えて、生活できている。とてもとても恵まれた環境にいる。そんな中甘えている余裕はない。この環境に感謝して、絶対に母に恩返しをしたい。
何よりも、やっぱり、生きていることに感謝すべき。どんな状況であれ、生きているなら……。生きていることって普通じゃない。高3までは普通だと思っていたけど、違う。
今でも、いつになっても、悲しいものは悲しい。突然泣きたくなるし、お金とか家とか全部失っていいから、「帰ってきて」って思う。周りの普通の家族を見ていると羨ましいし、「なんで自分は、うちは……」って思う。
けれど、父の分も。父が生きたかった分も生きていくべき。そのためにやっぱり頑張る。これからも何回もくじけるだろうけど、そのたびにきちんと向き合って頑張って、何とか生きていきたい。
幸せになるために。奪われた幸せを取り戻すために。