私のモットーは「当たって砕けろ」だ。
過去にこのモットーを元に行動したことがある。
もちろん実際に砕けたこともあるが、砕けなかったこともある。

私が持つとあるタオルは、使うためでなく先輩と話す口実のためにある

まずは砕けたエピソードについて話そう。
自分で砕けたエピソードって言うの、なんか情けなくなるなあ。
気を取り直して。
数年前に私が所属していたサークルに、「気になっている」先輩がいた。
「気になっている」のレベル的には、店の駄菓子コーナーのうまい棒(コーンポタージュ味)だけが完売しているレベルである。
……分かりにくいか。「お?」ぐらいのレベルだ。

あれは、私が所属していたサークルの合宿の最終日のこと。
私は、とあるタオルを持ってきていた。
先輩も私も好きなアーティストのタオルである。
もちろんタオルとして使用するためのものではなく、先輩と話す口実を作るためだ。
そのタオルを見せて、そこから話を広げようと試みた。
が、なかなかその先輩が一人にならない。複数人で楽しそうに話している。
その輪の中の中心人物となっていた。
すごい。私とは真反対のタイプの人だ、と感動すら覚えた。
いや、感動している場合ではない。
いざ話せたときに、どう話を広げようかを考えていなかったため、先輩がひとりになるまでに、話の流れを考えていた。

口実がついに使えたのに焦り、謎にMVを一緒に無言で見るという流れに

そして待つこと一時間。やっと先輩が一人になった瞬間が訪れた。
その隙をねらって話しかけてみることに。
「わ!リトグリのタオルやん!俺今日タオル持ってきてないわあ」と言われた。
ここまでは予想していた。
しかし、いざ話すとなると焦ってしまい、そこから話の膨らませ方が分からず……謎にリトグリのMVをスマホで一緒に無言で見るという流れになった。
そしてその先輩はどこかに行ってしまった。
ただただタオルを見せてMVを一緒に見た。
今でもあの時間は謎だなと思う。

数週間後、その先輩は、私と同期の子と付き合い始めたことを知る。
本気だった訳ではないが、少しショックを受けている自分もいた。
土砂崩れでいうと、中ぐらいの石が2個コロコロと落ちるぐらい。
……分かりにくいな。「お.......」ぐらいのレベルだ。

異性と数える程しか話したことがない私が、異性からコラボを誘われた

次は砕けなかったエピソードだ。
インスタに、「歌ってみた」などという類の動画をあげていた。
完全なる自己満でインスタにあげて楽しんでいた。
すると、とある1件のDMが来ていた。
普段ギターを弾いている人からのDMだった。
内容を見ると、コラボしませんかというお誘いだった。
彼とコラボするとなると、彼のギターに合わせて私が歌った動画を投稿することになる。
コラボというものをまだ一度しかしたことがなく、そして異性であったこともあり、急に緊張が襲ってきた。
まだコラボしていないのに。返事も返していないのに。
異性であったことに緊張を覚えたのは、紛れもなく私が女子大に通っているからである。
高校は共学だったが、異性と話すことは数える程度しかなかった。

もちろん、ぜひコラボしましょうという返事を送り、そして実際にコラボした。
彼のギターに合わせて歌うのはとても楽しかった。
そして、それからも何度かコラボして、LINEも交換した。
そして半年後には電話もするようになった。
とても楽しくて、次の電話も楽しみにしていた。
だがこの時、私は、彼のことが好きになっていることに気づいていなかった。
なぜなら、彼と「友達」として接していた期間が、私にとって長かったからである。

当たって砕けろ精神で告白。もしダメと言われたらという考えは、ない

出会って10か月。電話をし始めて4か月。そのとき、私の心境に変化が訪れた。
何か嬉しい出来事があると「彼に話したい」と思うようになった。
そして、彼と話していたものを見つけた時には「彼に見せたい」と写真を撮るようになった。
「これはもしかして...…好き?」と気づいた日の数日後には気持ちを伝える準備をしていた。

夜、いつものように彼と電話をしているとき。
「今、気持ち伝えたらどうなるかな……まあどうなってもいいや」
と、それこそ当たって砕けろ精神で気持ちを伝えていた。

「好き」という私の言葉を聞いた彼は、数秒フリーズしていた。
その後、「俺も」という言葉が聞こえてきた。
そして付き合うことになった。
あのとき「ごめんなさい」と言われていたらどうなっていたのだろうか。
コラボもできなくなるのだろうか。
電話もできなくなるのではないか。
...…という考えはなかった。
砕けたときのリスクがでかすぎるが、それを考えずに口が先に動いていたのだ。
今では1週間に7回程電話をしている。

このように、私は、砕けたときのことを考えずに行動するリスキーな人だ。
でも、私は、こんな私を、自慢したい。