昨年末、凍てつく寒さのなかよく喫煙所にいた。
友達と話していた「煙草を一本吸えば、問題が一つ解決しそうな気がする論」にすがるしかないほど、辛いことがあまりに重なった。
そして煙草を吸う時はお決まりで、喫煙所に近づいてきたら音楽アプリを開きビッケブランカの「白熊」を聴いた。この歌に出てくる白熊が私を守ってくる気がして。
今はというと、この曲は聴かなくなったし、段々とタバコの美味しさがわからなくなってきている。なぜならあの曲に出てくるシロクマのような彼が現れたから。

まさか神様ってドS?と一人で笑ってしまう程、苦しかった

昨年は苦しいことのオンパレードだった。
神様は乗り越えられない試練は与えない、ってよくいうけれど、あまりに私のキャパシティーのギリギリを攻めるレベルで与えてきたな?まさか神様ってドS?と一人で笑ってしまう程、苦しかった。

時系列に去年の出来事を洗い出したいと思う。
少々長くなるだろうから、読んでくださっている方はさらさら~っと流してくださいね。

まずは春に新卒入社した会社の仕事があまりに性格に合わず、ストレスを抱え鬱と不安障害を発症。就活は比較的早くから始めていて、家族も含め誰にも相談できないなりに人生初の「選択」を一生懸命した。結果、第一志望だった会社に入ったはずだった。
もうこの採用のミスマッチは資本主義社会のせいだと思う。
企業は優秀な学生人材の取り合いっこ。テストの点数が正義とされる日本の学生は意思決定が大いに苦手とわかっていて、だからこそ甘い言葉で惑わすのだ。
まだ社会をよく知らない私は、ゴリゴリの営業のことを困った企業を助けるコンサルだと謳われ、鵜呑みにして入社。現場に配属されて、営業数値のために顧客をチェスのコマのごとく扱うことに心が痛んだ。
裏世界を知らない顧客がこの現場を見たらどう思うだろうって思わず顧客側に感情移入してしまい、私は気が狂いそうだった。

元カレもうつ病を発症。悪い予感がした後、先輩から連絡がきて

次の事件は、当時付き合っていた彼氏Rもうつ病を発症したこと。かなり重度だった。
病気になる前はたくさん会話を重ねた関係性だった。大学卒業から社会人生活のスタートという人生の節目に感じたことの多くを、一番最初に伝えていたのはR。時には相談に乗り真摯にコメントしてくれたことを覚えている。
仕事一筋の彼が体調を崩してみるみる弱っていく姿を見て、今度は私が支える番だと意気込んでいた。そうしたら偶然、私もうつになってしまった。

そして、元カレRとの今後になんとなく悪い予感がした頃、いきなり元インターン先の先輩から連絡がきたことも悲しい思い出。
彼は社員だったので勤務初日に挨拶したのだが、「あ、この人かっこいいわ」とストンと一目惚れをした人だ。そんな憧れの先輩からナイス(バッド)タイミングで連絡がきたらもう状況がカオスすぎて、脳内停止した状態で「行きます」と言ってしまった。あ~やらかし。
結局彼はRとの関係性についてかなり確信的なアドバイスをした後、弱ってる私に寄り添うように近づいてきて、踏み進んではいけない関係性となった。

Rと別れた後、アプリで会った20個上のいい大人に避妊なしで性行為を強要された。服用中の抗うつ剤との飲み合わせが悪く4日間吐き気に苛まれた上に、妊娠していないとわかるまで1ヶ月かかったのだ。地獄の1ヶ月のおかげで、うつの治療は逆戻り。

その他、病気の治療に集中する上で、どうしてもこれまでずっと避けてきた家族との関わりを見直さなければいけなかった。そして今後の進退について聞かれ、コロナのパンデミックの影響で転職市場はかなり縮小し、合わないとわかっている仕事に戻るしかない現実を突きつけられた。

トドメを刺す出来事は、結局は取れる休職期間を使い切っても医者の判断で復職許可が降りず、会社の規定に則って自主退社したことだ。
健康も収入源も大切なパートナーも消えた。
残ったのは長期戦を要するうつ・不安障害の治療と、転職市場に見捨てられそうな「入社式から1年未満で病気を理由に退社」という汚い履歴書の職業欄だけ。

出会った「白熊」が懲らしめてくれるから大丈夫、と音楽を信じた

このように地獄の果てへと蹴り飛ばされた。
そんな私にも変わらずそばにいてくれたのが音楽。
ビッケブランカの「白熊」を聞いていると、実際に会ったことはないけれど、この歌のなかの白熊が私を守ってくれている気がした。
辛いことに心が押しつぶされそうになったら、この曲をタバコを吸いながら聴いて、白熊が懲らしめてくれるから大丈夫、と音楽を信じた。

人生のドン底に落ちてからどうにか這いあがろうと気持ちを入れ替えた頃、ひょんなきっかけで新しい彼氏ができた。
彼はどんな時でも、一緒にいれない時も、そばにいてくれている。
そして彼のお気に入りのLINEスタンプはシロクマ。
はじめて彼からスタンプが送られてきた時、『え、ついにシロクマが現実に現れた???』とびっくりした。

泣いていると「どうしたの?話してみて?」と声をかけてくれる。そして背が大きい彼。
ビジュアル的も精神的にも包容力があって、優しい強さをもつシロクマがぴったりな人。

最近はビッケブランカの「白熊」もタバコとも縁遠くなってきた。
雪が降り積もる白景色を背景に歌うMVの印象が強いから、聞かなくなったのは季節柄ではない。
だって春は三寒四温という四字熟語のように、寒くて震えそうな日もまだまだあるから。
そんな寒さに逆戻りした日はシロクマのような彼が温めてくれる。

いつもありがとう。
私は、春になると必ず満開に花を咲かせて、みんなの心をワクワクさせてくれる桜のように強くなって、あなたの日々を彩れたらいいなと思っています。

シロクマが桜を見たらどんなリアクションするんだろう?真っ白なあなたに桜のピンクが似合うといいなー!