もうだいぶ前に感じる。
就活戦士と呼んでも良いくらい戦ったと思う。頼まれてもないのに。

「御社が第一志望です」
エントリー150社、書類40社、面接30社、そんくらいは受けたと思う。明確な内定をもらうまで進んだのは10社、あとは途中で面倒になり選考辞退と内定辞退。面接後のお祈りメールは3社くらいしか貰ってない。
少し狂った就活をした。参考に出来そうに見えて参考にするべきではないと思う。

就活はマッチングアプリと同じノリ。会社に合わせて自分を変える

「先輩、就活勝者過ぎるんですけど~」
「マッチングアプリと同じノリだよ」
本当にその通りだった。特に行きたい会社がなかったので、ノリで書類選考を出しただけの会社もあった。例えばあのイケメンアイドルグループが沢山所属している事務所や、有名なカップ麺の会社。
ESで聞かれる質問が、他の会社と比べて面白かったので、他のESの息抜きに書いていた。友達にそれを言うと引かれた。
合わせて私は猫をかぶって喋るのがあまりにも得意だったので、会社に合わせて人格も振る舞いも変えた。
面接を受けた会社はほぼ次の選考に進めた。作り上げた人格を称賛してくる人事を欺いている感覚も、途中までは楽しかった。

よく問題視される圧迫面接をされても、自分が可愛いアイドルで、おじさん5人に囲われてると思えばもはや悦の時間だった。
そんな重役に根掘り葉掘り自分史を聞かれることなんて、そうそうないのだからと喜んでいた。なので内定をもらっても入るつもりのない会社の役員面接も行っていた。

でも、どこも本気になれない会社だったので、二日酔いや寝不足などで面接に行くこともあった。人事の目を見ていたら寝そうになった最終面接でも内定をもらった。
友達に演技力やばと言われ、あんた女優になればと母に笑われた。でも女優がそうだとしたらどんなに辛いんだ。

就活メイクや服装にやる気が出ない私にとって、コロナ禍の就活は最高

またオンライン面接が多い上に、対面でもマスクをしてるので、ノーメイクで行っても内定をもらえた。就活用メイクなど訳わからない定義のメイクにやる気が一ミリも出ない私にとって、コロナ禍の就活は最高だった。
特にオンライン面接では、自分の顔をライトで眩しい程に照らし、赤リップさえ塗れば顔が明るく見え、上半身だけスーツの下はステテコだった。

要するに何が言いたいかというと、就活というシステムが好きじゃなかったし、その上に周りがしている堅苦しい就活を嫌悪していた。
髪の毛は黒、ナチュラルメイク、スーツは値段がするもの、証明写真は写真館で撮影、パンプス、カバン、ストッキング、何から何までああしろこうしろと言ってくる就活対策本、大学のキャリア教育。
私にはそれが気持ち悪すぎた。だから嫌なものには全部従わなかったしやらなかった。なんでそんなにお金をかけて個性を消さなければいけない?

まあそれは建前で、外面的に努力する必要を感じなかった。上手に書類を書いて面接で上手く話せれば勝てた。あと私が本当に行きたい会社がないことが一番の理由だった。
でも、行きたい会社が明確にないのであれば、ここまでとち狂うように就活に向き合う必要はなかった気がする。
私は大学3年の秋に、ノリで企業のインターンシップに参加し、就活というものに対して漠然とした不安を変に抱えてしまい、12月頃から少しずつ就活を始めた。ピークは1月、2月、スケジュール帳が気持ち悪いほどぎっしりだった。そもそもスケジュール帳なんていつもはつけないので、大学がくれた就活手帳を可愛くして使っていた。

就活というゲームを楽しんだ、というのが1番合っているのかもだけど

建前での就活解禁は3月だが、私は3月の2週目にはもう内定をもらっていた。でも今思うと必要なかったと思う。
安心感のための内定。優越感の内定。
それからいくつかの会社からの内定が増えていったが、ゲームで所持アイテムが増えてく感覚と同じだった。持ってるだけ。

就活というゲームを楽しんだ、というのが1番合っているのかもしれない。
もしかしたら私は就活が向いていないのにも関わらず、世間の目を気にして、乗り遅れないように就活をした結果、ゲーム感覚に落とし込んで楽しんでいるフリをするしかなかった、という言い方もできるかもしれない。
本当のところは大勢に収まることで安心する弱い人間だと思う。

業種も職種もある程度にしか絞らず、とりあえず、自分の知らない名前の会社にはどうしても興味が湧かなかったので、ネームバリューのある会社に片っ端からエントリー、その中である程度数を絞って書類を送る、そしたらとんでもない大手以外には書類が通る、面接に進む、をやった結果、思ってもない作り上げた志望動機を言う人形に、私はなっていた。
自分が誰なのか分からないくらい、御社仕様の私として面接を受けていた。
もちろん私は話すことが好きだという性格なので、楽しい面接も多く、良い経験になったとは言えるが、精神衛生上は良くなかったと思う。

一つ確かなのは、就活に取り組む姿勢は本当に十人十色で良いと思う

そもそも、会社に自分が合わせに行くということは、誰でも少しはする必要があるのかもしれないが、それをしている自分にかかっている負荷の分だけ、その会社とそりが合わないということだ。
外面的にはフリーな気持ちでしていたつもりの就活も、内面的には自分に強い意思がないせいで、繊細な部分にまで御社の色を付けてしまった。

最終的に、私がここならいいかと入社を選んだ会社は、父も認めてくれる会社だったので、それは就活戦士の功績だとは思う。
一つ確かなのは、就活に取り組む姿勢は本当に十人十色で良いと思う。
就活をしない選択肢も大いにありだ。また、就活でもなんでも、終われば物事を良い経験と捉えるのは人間の利点かもしれない。
私は特に終わりよければすべて良しが強い人間だ。それが正しいかは分からないが。

とりあえず就活戦士は華麗なる引退が条件だ。今はもう就活中の辛さの実感がショートして全部アバウトなくらい。