私の就活結果は、40社以上の面談をしていて、受かったのは2社だった。
インターン、説明会を入れると70社以上の会社を検討していた。また、就活を意識していた期間を合わせると3年以上になる。
結果だけで見れば、この就活は「トラウマ」的な出来事に見えなくもない。でも、今振り返ると良い思い出になっている。
私は「旅先の散歩」をしているように就活をしていた。とても非効率でリスクが多く泥臭い就活だったけど、「人生何とかなる」と思えた経験である。
説明会から行先変更した先の本屋で、強く心ひかれる会社に出会った
大学2年生の冬に、授業で市の公務員の説明会があることを知った。興味を持ったので、その説明会の会場まで足を運んだ。
だけど、参加者らしき周りの人々を見ると「スーツ」だった。一方で私はニットとジーパンの服装で来ていたのでマイノリティな服装だということに気づき、恥ずかしさから私は会場に行く足が止まってしまい、近くにあった蔦屋書店で本を読むことに目的をシフトした。
その当時、大学では地域創成に関わる授業を中心に受講していたため、そのような内容がまとめられている本を偶然選んだ。すると、その本には「地域創成をデザインで解決している企業」がたくさん紹介されていて、その中の一つの企業に私は強い興味を持った。
すぐにその企業を調べ、夏のインターンがあることを知った。就活への楽しみを見つけた瞬間だった。
そして大学3年生の夏に、書類審査が通過したためその企業の2dayインターンに参加することができた。内容は、予め決められたグループに分かれ、それぞれの大学での専攻分野を活用しながら提案策を考えるものだった。
私がいたチームでは建築学生が3人、その他文系専攻の学生3人で、全員違う大学に通う学生だった。
「それぞれの得意分野の知恵を絞って一丸となって1つの提案策を考える時間」がとても刺激的で楽しいと思った。その後にお別れ会の飲み会も実施したりと、グループメンバー全員とも仲良くなれた。そして、この企業にますます惚れ込んでいた。
面接の手ごたえを感じなかった日、電車広告で見つけた気になる会社
大学4年生の1月、惚れ込んでいた企業の業界分析のために同じ業界の企業のインターンに参加した。
隣の席にいた同じ業界を目指すAくんと話すうちに「就活仲間になりたい」という思いができたため、ラインを交換した。この頃の私はインターン=人との出会いという認識で参加していた。その人に、私が惚れ込んでいる企業について語るうちに、Aくんも同じ企業を受けることになった。
第一次面接は本社がある東京で行われた。関西に住んでいる私は夜行バスで向かい、早朝に東京について、不安とワクワクが混じったふわりとした気持ちでいた。
偶然同じ日に面接だったAくんとは面接会場近くのお店で面接作戦会議を行った。そして、面接後にAくんお気に入りの美術館に一緒に行くことを約束した。
面接が終わり、美術館へ向かう電車の中で流れる「ディスプレイ広告」を見た。その広告の内容というのが先ほどの面接でお題となっていた内容だった。
全く違う業界の企業の広告だったが、面接の手応えが悪かった私は就職活動に不安を感じ始めていたため、その広告に書いてあった企業を調べ、関西の支社が説明会をしていることを知り、開催日が一ヶ月の日程に予約をした。
惚れ込んだ企業とは真逆の印象だけど魅力を感じ、面接に参加
惚れ込んでいた企業の第一次面接に敗れ、この頃の私の就活の目標は「正社員になる」というものに変わっていた。同じ学部の友達が次々就活を終了していく一方、焦りも感じていた。
また、Aくんが私が惚れ込んでいた企業に合格したことを聞いた時は、嬉しい気持ちと悔しい気持ちが混ざって電話越しに泣いてしまった。
この頃、ほぼ毎日何かしらの企業の面談をこなし、多い時には1日に3つの企業へ足を運んだ。大学のキャリアセンターのカウンセラーの人と話しながらエントリシートを作成したり、対策をしたり。
そんな時に、東京の電車広告で知った企業の説明会の開催日になった。行ってみると、惚れ込んでいた企業の雰囲気とは真逆で第一印象としては「静か」「固そう」というものだった。
だけど「新卒として働くには安心できる制度が整っていること」、大学で専攻している文系科目とは全然違う理系職の仕事であったが「それぞれの得意分野の知恵を絞って一丸となって1つの提案策を考える」ことを活かせる仕事ができるところに魅力を感じたため、面接を受けることにした。
すると、予想外にも面接が進み最終面接に挑むことができた。この最終面接が40社目の面接だったため、今までの集大成として自分のアピールができるようになっていた。
結果は「合格」だった。この企業への就職を決めた。
偶然が重なり、就職へ。それはまるで、「旅先の散歩」のような就活経験
偶然が重なり、就職することになったため不安要素も多かった。しかし、この不安はすぐにワクワクに変わった。
なぜなら、内定式や入社前説明会で同期メンバーと話す仲で仲良くなっていたから。そして、就職した後も仕事仲間に恵まれ、私は今年3年目の社員となった。今は就職した企業に出会えたことをとても嬉しく思う。
もし、大学2年生の冬に市役所の説明会にスーツで向かい、説明会に参加していたら、きっと今働いている会社を知らなかったし、この「旅先の散歩」のような就活経験はできなかったと思う。
私の就活での経験は決して美談ではないが、人生において「自身のお守り的な要素」がある。だからトラウマのある出来事にならず、むしろ「誇り」となっている。