就活をしていた大学生の頃、私は常に「自分が今いる場所は自分の真の実力に見合っていない、本当はもっとできるのに」と思っていた。そう思えるだけの努力もしているつもりだったし、歯痒い思いも沢山していた。
そんな私にとっては就活とは、「私を本来の場所へ押し上げてくれるまたとない機会」だった。

大企業への入社こそ私を本来の場所に押し上げてくれると信じていた

私はその頃、いわゆる大企業や給料が良かったり、世間的に有名であったりする企業に入社することが、私を本来の場所に押し上げてくれると信じていた。
その為、応募していたのは、大企業や人気企業の総合職がほとんど。
インターンの段階ではそこそこの結果が出ていた為、このまま思ったところに行けるかも、と希望は膨らんだ。

そして始まった就活本番。結果は……周りが私の就活状況を聞くことがタブーになるくらい、内定が出なかった。正しくは、内定は出ていたのだが、思った企業ではなかった為、辞退していた。

そもそも、私は全国的に無名の地方私立大文系学生であった。しかも、入学前にフリーター経験がある為、多浪していた。そんな学生が全国トップレベルが集う人気企業の総合職に内定を得るなど、今思えば余程の見どころがあったとしても無謀だろう。しかし、私は本気で自分にならできる!と信じていた。
しかし、就活の時点で頑張ってみても力及ばず。私は人生何度目かの挫折を経験した。

そして私が入社を決めたのは、ある企業の一般職である。主に総合職社員の仕事をサポートする立場だ。
一般職を受けてみると決めた時、自分の中の大きな何かを自分で壊したような気がした。職種に優劣はないのだけれど、これまでひたすら総合職を目指し努力していたのに、自分の足りなさを自分で認めたような気がした。そして、それは当時の私にとっては人生の後退であった。

自分の努力ではどうにもならないことを認められたことが転機になった

私の最初の希望は叶わなかったが、それでもこの大学の中では良い就職先だ、と就職支援の担当者には言われた。
入社してみると、東京の有名大学出身の女子達も同じポジションにいた。蓋を開けてみると地方無名大多浪の私がちょっと萎縮してしまうくらいだった。
なにをしょげていたのだろうか、ここだって私には十分に場違いだ!

また、転勤のない一般職に落ち着いたおかげで、当時の彼と結婚し、子どもを産む選択を後押ししてくれた。夫は遠距離婚は絶対に無理なタイプだから、結果的にこの仕事が夫との縁を繋げてくれたと言える。

仕事は楽しいことばかりではないし、業務内容に物足りなさを感じることもあるが、パーフェクトな職場なんてない。
内定が出ず、暗くて長いトンネルの中で出口までの長い道のりを彷徨っていた私は、一旦入り口まで戻り、トンネルの横の日の当たる、ちょっとデコボコした道を選んだ。
今になって思えば、トンネルを後退したことは、なかなかナイスな選択だったと思う。自分の努力ではどうにもならないことをきちんと認め、適切な選択をした。

当時の私に伝えたい。どの道を進んでも結果オーライにするのは自分

就活していた当時の自分に送るメッセージがあるとするならば、こうである。
向上心があるのはいいこと。でも就活が上手くいかなくたって、たった一つのトンネルを自力で抜けることができなくたって、人生はまだまだ続くよ。

そして、どんな道を進むことになったとしても結果オーライにしていくのは自分しかいない。デコボコ道だって急な上り坂だって、スピードが出過ぎる下り坂だって、泣きながら行くのか、笑って歌いながら進むのかは自分次第。

そして最後に、就活に思うこと……。もう二度と、やりたくありません!