結果から言うと、私の就活は大成功だった。でもなぜか心のどこかで、もやもやしている自分がいる。不安と重圧に押しつぶされそうになりながら、今は日々を過ごしている。
どうしても入りたい企業があった。でも、私の実力では無理だ
一年前、私は就活に毒づいていた。夏インターンが全滅で終わり、どこにも採用されないんじゃないかっていう不安の中、就活なんてテクニックだ、そう思うことで不安から目を逸らしていた。
不安を埋める様に私は「努力」をした。成果は少しずつでてきた。ESを添削してもらって、伝わりやすい文章にするだけで通過率は上がったし、面接も想定質問を考え、伝わりやすい言葉に言い換えるだけで、ほんの数分の間に自分の魅力を伝える技法を習得した。
そんなことをしながら、少しずつコツを掴むことで、冬インターンはそこそこ通過するようになっていった。
実は私は、かなり昔からどうしても入りたい企業があった。だから、その企業に入るための努力は何でもした。
OB訪問や説明会での質問を通し、どんな人材を欲しがっているのかを探った。ホームページの読み込みも気がついたらしていた。するとわかったことがあった。
私の実力では無理だ、ということだ。私はそれに気がついた日、カフェで1人で泣いていた。
一連の流れを話したときの友人の一言が今でも忘れられない。
「自分にしかできないことは何か、を探すのが就活」
それを聞いてハッとした。就活への考え方がガラリと変わった瞬間だ。
そして私にしかできないこと、できなかったこと、それが見つかった。もう一度目指そう、私はそう決意した。
内々定から半年。自分の心が自分に追いつかない
ESが通過した日の喜びは今でも忘れられない。友人も祝福の電話をくれた。一次面接も、緊張を通り越し、自分の話を聞いてくれることへの感謝でいっぱいだった。
短い時間だったが、その企業とどこで出会い、出会いがどう今につながっているのか、そしてそのことへの感謝を伝えることができた。
一次面接はもちろん通過し、気がついたら、内々定をいただいていた。
それから半年たった今、私は不安でいっぱいになっている。自分の心が自分に追いついていない、そんな感じがするのだ。望んでいたはずの環境があるはずが、なぜそこにいるのか自分自身がわからなくなってしまっている。
同じ経験を昔もしたことがある。しかしその時は、努力もせずにその環境を手に入れてしまったことが要因だった。今回は確かに努力した、そう思えている。それなのになぜなのか。
就活が終わった後、たくさんのことが自分の周りで起きた。
就活でアピールした、「自分にしかできないこと」が発展し、さらに多くの、そして大きな機会をいただける様になったのだ。
今私は自分でもありがたすぎるくらい、貴重な経験をさせてもらっている。なんだか自分が国や世界を動かしてるんじゃないか、自分は凄い人なんじゃないか、そう思える時もあるくらいだ。
でも実力が伴っていない気がする。期待に答えられない自分に嫌気がさす時もある。だから、もう無理だ、といつかそのチャンスを自分から手放すのではないだろうか、と思う時がある。
その時、再び機会をくれる人は現れるのだろうか。社会人になったら歯車の一部になってしまわないだろうか……。
想定以上の就活結果も相まって、まるで突然売れてしまった芸能人のように、どこか現実離れした感覚が常にあるのだ。
不安を払拭し、社会を動かす人材になりたい。その方法が見つからない
女優は売れると不安になって結婚したがる。最近そんな記事を見つけた。もしかしたら、この感覚はみんな通る道なのかもしれない。
学生という特権だけでできるチャンスを存分に生かしたい。できるだけこの不安を払拭し、入社後は社会を動かす人材になりたい。そう今は思っている。
しかしどうやったら不安は払拭できるのか、その答えは見つかっていない。
背伸びでもらった内定ではなく、実力で得た内定である。自分が当たり前にみんなやれると思っていることは、普通の人にはできないことなのだ。そう思えるようになることが第一歩なのかもしれない。
私は今いわゆる「内定ブルー」の状態だ。