あの日に戻れるなら、きっとあの窓を開けていなかっただろうか....…。
君との最後の瞬間を思い出せないんだ。

あの時、もう会えないと知っていれば..…。
再会した時の君は冷たくて...…。

私が開けっ放しにした窓から出ていったルーコが、帰ってこない

私は犬が3匹、猫1匹という環境に産まれた。
一人っ子の私にとって彼らは兄弟も同然の存在だった。今回は私のお兄ちゃん的存在猫のルーコのお話である。

ルーコは私が怒られて泣いていると、すぐにそばにきて一緒にいてくれる。
寝る時も一緒だったりととっても頼りになるお兄ちゃんなのだ。
とっても人懐っこく人気者でもある。よく他の猫と喧嘩をするやんちゃな面もあるけどそんなルーコのことが私は大好きなのです。

家庭の事情で引っ越しことになった時、ルーコも一緒に行くことになった。
今までは田舎に住んでいたので、自由に外に外出できるようにしていたが、環境が一気に変わるため苦しい気持ちはあったが、基本的には家の中で過ごしてもらい、朝と夕方散歩というスタイルに変えたのだ。

そんなある日のことだ、私はうっかりしていた。いつもは開けない窓を開けっ放しにしてしまったのだ。

そこからルーコは外に出たようだった。

探してもルーコは見つからなかった。私はあの窓からきっとまた帰ってくると信じて、毎日父と一緒に寝袋に入り、窓のそばで寝る日々を続けた。帰ってきてくれると願って願って願い続けたんだ。

それでも帰ってはこなかった。

冷たくなったルーコとの再会。気づくと視界が曇り、涙が溢れ出ていた

家族で周辺の住人に話を聞いていると、ある女性が、似たような子がお腹をすかせていたので保護したという。ご飯を食べて、そしてその後そこで亡くなったのだと。そして動物を火葬してくれるところへと送ったと...…。
私たち家族は話を聞き終え、歩み始めた瞬間涙が止まらなかった。私は嘘だと言い聞かせる反面、背筋が凍るくらいの恐怖も同時に感じていた。火葬場に連絡をするとまだ火葬前だというので、待ってもらった。

そして火葬場に行くと、そこには冷たくなった黒猫がいた。近づいて見ると、どこからどう見てもルーコで、違うところがなくて、気づくと視界が曇り、涙が溢れ出ていた。止め方がわからない。

猫は、死の直前に飼い主の前から姿を消すと言われている。これが本当なのかどうかはわからない。でもルーコはそうだった。

あの時窓を開けてしまったのは私だ。
これがずっと引っかかっている。
もし開けていなかったらどうなっていたのだろうか、最後の時まで寄り添ってあげられたんじゃないかって。

他にもルーコは幸せだっただろうかとか、最後は苦しくなかったのかなとか、いろいろと考えてしまう。

何かが起こっても、過去には絶対に戻ることはできない。人はどんなに苦しくても、辛くても前にしか進めないのだ。

祖父母の家に住み着くルーコそっくりな猫。神様のいたずらだろうか

ルーコが亡くなってから数年後。

私は祖父母に会いにもともと住んでいた家に帰った。そこにはルーコそっくりの猫がいた。どうやらこの猫は祖父母の家に住み着いているらしい。名前を聞くとルーコだという。
人懐っこい性格、黒く整った毛並みルーコそっくりだった。皆口を揃えて言った。ルーコの生まれ変わりかなと。

神様のいたずらだろうか。
嬉しい気持ちもあった。

でもね神様、いくら似ていてもルーコは1匹しかいないんだ。だから言うよ、そんなかけがえのない存在に出会わせえくれてありがとう!

猫や犬の寿命は人間の何倍も短い。
だからこそその子達と家族になると決めた瞬間から、最後の時まで愛し続けてあげて欲しい。