あなたが結婚するというニュースを目にしたとき、私はすごく驚きました。
そろそろかなという予想はしていたので、結婚そのものに驚いたわけではありません。
あなたの結婚を祝えた自分にびっくりしたのです。
大好きな人の幸せを祝えないから、結婚前にファンをやめる決意をした
あなたのファンである私はずっと、あなたの結婚を祝える自信がありませんでした。
そう思うようになったのは、あなたと同じグループのメンバーが結婚したときです。いつ結婚してもおかしくない年齢なのはわかっていましたが、急激に現実味が増したのはそのときでした。
自分自身があなたと結婚することを夢見ていたわけではありません。ただ、あなたのパフォーマンスに女性の影を見たくなかった。神聖な存在でいてほしかった。そのために、誰のものにもならないでほしかった。いつか目にするかもしれない結婚発表を想像しては、絶望的な気持ちになっていました。
おめでとうなんて言えるはずがない。いつかあなたが結婚する日が来たら、私はそのときにファンをやめるだろうと思いました。
あなたの結婚を嫌だと思う気持ちと同じくらいかそれ以上に、あなたの結婚を嫌だと思う自分が嫌でした。大好きな人の幸せを喜べない自分はなんてだめなファンなんだろうと思っていました。
結婚発表を見る前からそんなことを考えるなんて変ですよね。でも、どうしてもその想像と自己嫌悪から抜け出せなかったのです。
だから私は、あなたが結婚する前に、あなたのファンをやめました。
ニュースサイトにはあなたの名前と結婚の文字。クリックした私は…
ファンはやめようと思ってやめられるものではありません。それでもどうにかやめるために、私はあなたから離れました。
地方のライブに行くのをやめ、くまなく動画を見るのをやめ、グッズを買い集めるのをやめました。物理的に距離を置くことで気持ちも少しずつ離れていき、あなたの代わりに別の人を応援するようにもなりました。そうして私は、あなたをテレビで見るだけの人になりました。
本当は、最初からその程度の気持ちだったのかもしれません。
その日のことはよく覚えています。
時間は夕方でした。仕事で調べ物をしようと思いインターネットブラウザを立ち上げ、ホームに表示されるニュースサイトであなたの名前を見つけたとき、心臓がどくりと跳ねました。
一般人女性と結婚。
その文字をゆっくりと目で追って、それから見出しをクリックしました。
記事を読みながら、自分の覚悟が現実になったことを少しずつ、静かに理解しました。最後の一行までしっかりと読んで、自分の感情とまっすぐに向き合ったとき、私はびっくりしたんです。
あなたの結婚を心から祝えていることに。
これからもどうか幸せで。これはあなたに書く最後のファンレーター
あんなに嫌だと思っていたのがうそのように、すっきりした気持ちでした。ショックもなければ自己嫌悪もない。ただただ、あなたがこれから大切な人と幸せな人生を歩むのだということがうれしくなりました。誰かの夫になったあなたの新しい表情が見れるのだと思うとわくわくしました。
あなたの結婚を祝うためにあなたのファンをやめたので、これは私の作戦勝ちだと思います。
自分勝手でごめんなさい。もう堂々とファンを名乗れるような身ではありませんが、今後も少し遠くからあなたを応援したいと思っています。ステージに立つあなたが大好きなことに変わりはないから。
これはあなたに書く最後のファンレターです。これからもどうか幸せでいてください。ステージを降りるその日まで、見ている人を幸せにするパフォーマーでいてください。
あなたの幸せを願える私は今、とても幸せです。