あなたにとって「結婚」とは何ですか?
私にとって「結婚」とは……人生を共に歩んで行くことを誓い合うこと。喜怒哀楽を共に分かち合い、支え合って生きていこうという約束をすること。そう思っていた私は、「結婚」というものに夢を見過ぎていたのでしょうか。
結婚をしなくても同居することもできるし、キスやSEXだってできる。結婚したからといって、浮気をしないとも限らなければ、相手が一生私を愛してくれるとも限らない。結婚したからこそ何があるのかを強いて言うなら、控除を受けられることや仕出かした時に法律で裁けるくらい。
実際は、紙1枚の契約書。あくまでもただの契約関係。嫌になってしまったら、契約なんて解除してしまえばよい。「結婚」をそんな風に考えてしまうようになったのは、彼のせい以外のなにものでない。

夢見ていた結婚生活をスタートさせ、「彼の行動」に違和感を感じた

私はある男性と結婚という契約を交わした。生涯のパートナーとして支え合うことを誓い、共に暮らす生活がスタートした。
その時、私は知らなかった。彼が抱えたいた病気のことを。
一緒に生活をはじめて、違和感を感じたのは結婚して1ヶ月程だった。家で一緒にテレビを観ていただけで、特に手が汚れた様子もないのになぜか手を洗うことが多かった。車に忘れ物を取りに行くだけでも、家に入る時はシャワーを浴びて、着替えは全部洗濯機に入れた。
仕事から帰ってくると、なぜか鞄は車に置いてくる。絶対に家に持って帰ってこない。違和感は、次第に増える一方だった。

ある日、一緒に買い物へ出かけた。冬の肌寒い日。ショッピングモールの館内は暖かく、手に上着を持ちながら回っていた。
いつも通り買い物をして回っていたが、私は自分の上着を手から落としてしまった。軽く叩いて拾いあげる。私にとっては、なんてことない当たり前のことだった。
それから、彼はそわそわと落ち着かない。買い物中も上の空。
一通り終わると、彼は私に「先に車に戻っていてほしい」と言った。車に戻って待っていたが、全然来ない。
数十分が経って、やっと来たと思えばとても怖い顔をしている。私には、その理由がわからなかった。
いつも優しい彼からは想像がつかないような怖い顔。まるで別人。思わず涙が溢れてしまった。そんな私を見て、いつもの表情に戻ってひたすら謝る彼。
「私、なにかしちゃったのかな、ごめんなさい」
「いや、悪いのは俺だから。本当に」
原因がなにか、その時は教えてくれなかった。

全く知らずに結婚をしたが、彼は「強迫性障害」という病気だった

私が感じている違和感が確証に変わっていくのに、そう時間はかからなかった。彼は「強迫性障害」という病気だった。実は、中学生の頃からだったという。
全く知らずに結婚をしたが、知らずに結婚して良かったとさえ思った。知っていたら、結婚していない。
同棲して数ヶ月で、別れていたと思う。そのくらい、強迫性障害の彼と一緒に生活をすることは困難だった。
でも、結婚をしたからこそ一緒に乗り越えようと腹を括ることができた。共に生きていくために。

それから、カウンセリングへ一緒に通うまでに2年かかった。 頑なに「病院へ行きたくない」「自分の力で頑張る」と言い張った彼に、自分の力だけではどうにもならないこともあると自覚してもらうのに2年もかかったのだ。

カウンセリングに通い、彼と共に歩いて行くと決めたのに、裏切り

それから1年。2人でカウンセリングに通い、中度の重度だと言われた彼は、軽度まで落ち着いた(仕事をすることも困難だそう)。共に歩んでいくため、彼自身も本当に頑張ってくれた。
そう、思っていたのに……私は彼のとんだ裏切りを受けることとなった。彼の趣味であるギャンブルが趣味の範囲を超え、大きな借金となっていた。
大きなマイナス額の明細を偶然見つけるまで、私は全く気づくことができなかった。共に歩んで行くと誓った私の心の糸がぷつっと切れてしまった。

「結婚」とはただの契約書1枚の関係にすぎない。つまり、結局は許し合いながら共に生きていこうと思えるかどうかのような気がする。私は、どうしても彼を許すことができなかった。
それでも、彼は大切な相方だった。大切な人だったからこそ、彼にちゃんと心の痛みを感じてほしい。例えこれから先、隣にいるのが私でなくても、同じ過ちを繰り返してほしくない。
だから離婚を選んだ。お互いに前を向こうという誓いをして「離婚」した。
あなたにとって、「結婚」とは何ですか?