高1のときのクラスメイト、好きになるきっかけは文化祭の片付け。みんながステージの出し物に注目する中、先に片付けを進めていたら、彼も一緒になって片付けをしてくれたのだ。
そんな些細でよくあるシチュエーション、でも好きになるのに時間はかからなかった。最初はただただ楽しかった。席替えで席が近くになると嬉しくて、たくさん話しかけた。
一緒に話せるだけで幸せだった。笑顔が素敵だな。授業中はしょっちゅう寝ている、寝顔がかわいいな。クラスの打ち上げを口実に連絡先をゲットしたときなんて天にも昇る心地だった。
友人にはすぐバレた。からかわれるのは少し気恥ずかしいけど、そんなことも楽しかったのだ。

「好き」を自覚するほど、彼と話すことができなくなった

でも純粋な「好き」は、気付くとどんどん欲張りになっていった。
私を見て。他の人と話さないで。私と付き合って。少しずつ欲は大きくなり、嫉妬となり、どんどん濁っていった。そして「好き」を自覚すればするほど最初の頃のように話すこともできなくなっていった。
でも繋がりたい。直接話せない小心者の私は、メールをしてしまう。
あの頃の私は、告白なんてする勇気がなかった。次の年のクラス替えで、また一緒になるかもしれない。万が一振られたら気まずくてどうしよう。そんなことを言い訳にして。
2年になって、再び彼と同じクラスとなった。純粋に嬉しかった。「同じクラスだね。今年もよろしく」。そんな挨拶をしたのも嬉しかった。
でもクラス替えというのは、これまでと別のクラスだった人たちが一緒になるということだ。前と同じというわけにはいかない。彼と私は、完全に違うグループ同士で連むようになった。
彼のグループには、いわゆるスクールカーストで上位に立つような派手な女子がいた。前のようには話しかけづらい距離感になった。

「あなた4股しているって噂流れているよ」。彼に告白できなくなった

そんなときに限って、さらに追い詰められるようなことは起こるのだ。
「ねえ、あなた4股しているって噂流れているよ」
その年の夏休み。同じ部活の子から聞かされた。なんで?誰が言ったの?そもそも私、彼氏もいないんですけど?
たまたま、席替えで周囲が男子ばかりの席になった。だから近くの男子と話すことが不可避だった。ただ、たまたまその男子の一人は別のクラスに彼女がいた。その彼女がよくクラスに来ているなとは思っていた。確かにちょっと見られることがあったかもしれない。
ふざけたただの噂だったらまだ良かった。最悪だったのはその4股の一人に彼がいたことだった。
その瞬間「ああ、もう彼には告白も何もできないんだな」と冷静な気持ちと、ドロドロとした怒りのような悲しみのような重い何かが胸の底に落ちていった。
ただ「好き」という気持ちだけがあればいいのに。どうして人は恋すると、あれもこれもと欲しがってしまうんだろう。見ているだけでいい、なんて綺麗な気持ちはとっくのとうにもっと黒い何かで覆われていて、恋というより執着に近い気持ちになっていたように思う。

高校の時好きだった彼へ。あの時告白できたら何か変わっていたのかな

私はその後、ろくに彼と話すことができないまま卒業した。あの時、もし告白できたら何か変わっていたのだろうか。
高校の時好きだったあなたへ。私はあなたのことが好きでした。授業の合間にお話しをして、くだらないことで笑い合った時間は本当に楽しかったんです。
メールが苦手なのに、部活で忙しいのを知っていたのに、たくさんメールをしてごめんなさい。たまに返信くれたときは嬉しかった。ありがとう。
あなたにとって私はきっと迷惑な存在だったかもしれない。嫌な思いをさせてごめんなさい。
今は何をしていますか?元気ですか?
どうかあなたが、私のような人ではない素敵な人と幸せな日々を過ごしていますように。