「結婚しよっか!」
待ち望んでいた言葉を迎えたとき、本当に嬉しくて笑みが溢れた。
答えはイエスしかない。
スカイツリーもプロポーズを待っていてくれたのか、同時にライトアップも消えた。

結婚への不安が大きくなり、「幸せにね」は私の聞きたくない言葉に

浮ついた気持ちはそれほど続かなかった。2年の遠距離恋愛を経て、やっと彼と一緒に過ごせるんだという嬉しい気持ちより、地元を離れて新たな生活が始まることへの不安がどんどん大きくなった。
自分のキャリアもまだまだこれからというところでやめることになる。母から離れるのも不安だった。
結婚する女性はほとんどの人が通るであろうこの悩みや不安は、ありきたりなものかもしれない。人には華やかで幸せオーラしか見えないみたいだけど、内心それどころではなかった。
そして結婚を選んだのはあなたでしょ、とさらに自ら追い込む。

「幸せにね」
たくさん聞いたこの言葉は、私にとって聞きたくない言葉になった。
突き放されたかのような気分になる。結婚したら別人になってしまうのか、私は変わらないのに。
プロポーズされたときのライトアップが消えたスカイツリーは、現実を突きつけていたのか。

彼に心境を話せば話すほど、自分の事ばかり考えていたと気づいた

「幸せじゃないの?」
彼が不安気に放った言葉。俗に言うマリッジブルーな状態だった私は、心境を彼に話したのだ。
その言葉で気づいた。彼は二人で幸せになりたくてプロポーズしてくれたはずなのに、私は自分のことばかり考えていたのだと。

「もっと素直に」
私は考えすぎる癖がある。考えすぎたとき、この言葉を思い出したい。彼と育んできた気持ちに素直になりたい。自分が幸せになる方法は素直にならないと見つけられないはずだ。
結婚は、思っていたより華やかなものではなく、現実を知るきっかけになった。
今はライトがついていないスカイツリーも輝いて見える。
私も素直な自分で輝きたい。